教育福島0150号(1990年(H02)10月)-036page

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研究実践

郷土のよさを見いだし発展を願う生徒の育成

−郷土への理解と所属感の育成をめざして−

県教育委員会研究指定校 舘岩村立舘岩中学校

レポート

 

一 主題設定の理由

昭和六十一年、臨時教育審議会は、第二次答申を行い、教育の未来展望の一つとして、「国際化」を打ち出しました。郷土教育は、この国際化と背中合わせに位置づけられており、広い視野に立って、郷土や伝統を尊重し、異文化についても深く理解できる人間の育成をねらいとしています。本研究ではこのねらいである郷土の文化や伝統を尊重することに視点をおきました。

郷土の文化や伝統を尊重するためには、それらに対する、理解の深まりと愛着が必要です。愛着を感じさせるためには、郷土への連帯感や所属感を高めていくことが大切です。また、郷土への理解が深まれば、自ずと郷土への所属感も高まります。郷土への所属感が高まれば、さらに郷土への理解も深まっていくとも考えられます。そこで、郷土への興味・関心を持たせる指導や地域の一員としての自覚を高める指導をしようということになりました。

また、本校の四つある教育目標の中に、「郷土を愛する生徒の育成」があります。本校では、長年にわたり、地域の特性を生かした勤労体験的活動や奉仕活動等を実践してきました。それらを引き継ぐ形にもなります。そこで、県教育委員会の指定を機に、従来の郷土愛の育成を引き継ぎながら、それの見直しを図っていこうという考えがまとまりました。

 

この考えに基づき、生徒の実態・地域の実態・保護者や教師の願い等を実態調査から割り出し、研究で求める生徒像を次のようにとらえました。

1 郷土に関心を持ち、自ら知ろうとする生徒

2 郷土のよさを大切にし、その保持に努める生徒

3 郷土の特色をとらえ、的確に発表できる生徒

4 他人の意見を尊重し、協力し合う生徒

5 集団の一員として、自主的に実践する生徒

6 地域の行事などに積極的に参加する生徒

7 豊かな郷土をめざす生徒

以上の点を踏まえ、標記の研究主題を設定しました。

 

二 研究の見通し

研究を進めるに当たっての全体的な見通しは次のようなものになりました。

教科・道徳・特別活動において、地域素材を取り入れ,郷土を身近にとらえさせること、地域行事等において、地域の一員としての自覚を培い、積極的に参加させることによって、郷土に対する理解や所属感を高めさせれば、郷土のよさを見いだし、発展を願う生徒が育成されるであろう。

また、研究でめざす具体的な生徒像を的確に把握し、具現化するために、教科・道徳部、特別活動部、地域連携部の三部をおき、次の見通しをもって研究を進めました。

1 教科・道徳部

1) 教科

各教科の学習の中で、地域素材を取り入れ、地域の特性を的確にとらえさせれば、郷土に対する理解や関心が高まるであろう。

2) 道徳

道徳の学習の中で、地域素材を取り入れ、身近な問題として的確にとらえさせ、見直させれば、郷土を愛する心情や態度が高まるであろう。

2 特別活動部

学級活動・生徒活動・ふるさとふれあい体験学習の中で、郷土の自然・生活・文化等を調べさせたり、考えをさせたり、発表させたりすることによって、郷土を見直させれば、郷土に対する理解や所属感が育成されるであろう。

3 地域連携部

地域行事への参加の中で、地域の中における自己の役割を明確に意識させることによって、協力して実践させれば、郷土への連帯感や所属感が高まるであろう。

 

三 研究の方法

研究の方法は次のとおりです。

1 郷土に対する意識を、実態調査により把握し、郷土教育の意義について共通理解を図り、研究のねらいを明確にする。

 

 

 


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