教育福島0150号(1990年(H02)10月)-037page

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2 教科・道徳、特別活動、地域連携の三領域で実践研究を進める。

3 教科・道徳部においては、地域素材の収集、地域素材の資料化・教材化、指導方法の工夫改善、主体的学習の定着、年間指導計画への位置づけ等から研究を推進する。

4 特別活動部においては、地域素材を生かした生徒の活動、ふるさとふれあい体験学習の計画を実践から研究を進める。

5 地域連携部においては、地域行事への積極的参加、地域の教育力の活用、関係諸機関との連携等から研究を進める。

6 求める生徒像に近付くことができたかどうか変容をとらえるために、事前・事後の生徒の様子(実態)を比較・検討し、研究の見通しの有効性を検証する。

7 研究推進のための研究組織、研究計画、研究の全体構想図等を全職員の共通理解のもとに作成し、研究のねらいや方法を明確にする。

 

四 研究実践の例

社会科では、第三学年の公民分野、日本経済の成長のところで、舘岩村の経済の学習から、日本経済の成長のあらましを理解させようとしました。

道徳では、第三学年の「不撓不屈」のところで、舘岩村の高杖原の開拓についての資料を集め、自作資料を作成し、祖先の苦労を身近にとらえさせようとしました。

学級活動では、他人の意見を尊重し、協力し合うことができるように、特に、話し合いの仕方の訓練に重点をおき、郷土の特性を的確に発表できるように、交流の場を広げる活動を取り入れました。

生徒会活動においては、なめこ・しいたけ栽培と組合活動を推進し、地域の特色を生かした勤労生産の喜びを体験させるとともに、集団の一員としての自覚や的確に発表できる訓練を通して生徒会の充実を図りました。また、郷土を見つめ直す機会としての文化祭での意見発表会を行ったり、郷土の民俗芸能の保存に努めさせようと民俗芸能クラブや郷土研究クラブ等を設置したり、ふるさとふれあい体験学習を取り入れ、ふるさとの調査研究としてまとめさせたり、村教育委員会のふるさと文化ふれあい教室に参加し、そば打ちなども体験させたりしました。(写真参照)

地域連携としては、一斉クリーン活動、ゴーマン杯マラソン大会、村民レクリエーション大会等の地域行事に積極的に参加させました。地区懇談会、学校だより、学級だより、PTA文集の発行、親子で尾瀬探勝会など、家庭との連携を深める諸活動を多く取り入れました。

 

そば打ちを体験する生徒たち

 

そば打ちを体験する生徒たち

 

五 研究の成果

研究の結果、生徒には次のような変容がみられました。

1 身近な題材を通して学習することができ、わかりやすく授業への取り組みが意欲的になってきた。

2 身近な問題を通しての学習であるため、活発に意見が出されるようになってきた。

3 体験学習等で、郷土の自然、文化、生活等を調べたことから、郷土のことに関心を持つようになった。

4 生徒集会等で、企画の手順や方法を身につけはじめ、自主的な活動がみられるようになってきた。

5 郷土の発展を願う態度としては、

(1) 館岩村の良いところを守ろうと思っている生徒が増えてきた。

(2) 舘岩村をもっと良くしようと恩っている生徒が増えてきた。

(3) 館岩村の将来の姿を考えるようになってきた。

これらの点から、求める生徒像に近付くための基礎となる力は、格段に高まってきていると考えられます。

 

六 今後の取り組み

今後の取り組みについては次のように考えています。

1 現在の中学校の状況から考えると、教科の目標達成が優先されるので、地域教材は、補助教材として、導入段階での活用を図りたい。

2 道徳では、道徳的心情を高めることが一番大切と思われるので、地域素材の資料化を図る際には、価値判断に重点をおきたい。

3 体験学習でまとめた資料は、授業の中に取り入れるなどの活用を図るとともに、調査の手順・研究方法・資料のまとめ方の指導に力を入れ、体験学習をぜひ継続したい。

4 話し合い活動を活発化させるための指導を強化し、全校的な取り組みにしたい。また、その基礎として、語い力を高めることに努めたい。

5 昨年度の「舘中議会」で体験できたような、積極的に地域の問題に取り組み、地域行事にも積極的に参加する生徒の育成に努力しなければならない。

 

 

 


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