教育福島0150号(1990年(H02)10月)-038page
教育センターから
学校の経営過程における
現職教育のあり方に関する研究
−先生方のニーズに応える校内研究のすすめ方−
学校経営部
教育センター学校経営部で三年間行った研究の結果が「校内研究のすすめ方」としてまとまりましたので、その概要を紹介します。
一、校内研究を進める上での問題点
校内共同研究については、県下各校とも研究主題を設定し、意図的・計画的に研究を推進しているところです。
それにもかかわらず臨教審答申でも「現職研修の充実」が言われ、各学校における「校内研究の質的充実」が叫ばれています。
そこで、当学校経営部では校内研究推進上の問題点をさぐるため、各校を訪問し、研究主任の先生を中心に「学校における研究推進上の問題点は何か」について聞き取り調査をしました。
その結果、特に次のことについて悩みや問題点のあることが分かりました。
1) 教師の協働意欲(モラール)をどう高めるか。
2) 共同研究の中で相互啓発や自己啓発を図る研究の在り方、進め方をどうすればよいか。
3) 日々の授業に結びつき、授業の質的改善・充実につながる研究を進めるにはどうすればよいか。
4) リーダーの具体的な援助指導や主題達成に必要な各係とその内容及び時間の確保、研究結果の評価とその累積活用はどうすればよいか。等
二、校内研究を進める上での課題の明確化
前記の聞き取り調査結果を基に、校内研究推進上、最も改善・充実を図らなければならない実践上の課題を明確にするため、県下小・中・高約二百校を対象にアンケート調査を実施しました。
その結果、表1のような十一の実践課題に集約することができました。
こうしてまとめた実践課題十一項目について、日常の研究推進に役立つ「校内研究のすすめ方」の手順・内容を明確にすることにしました。このことが即ち、各学校のニーズに応えた研究になる、と考えたのです。
三、校内研究推進の基本的な考え
本研究「校内研究のすすめ方」をまとめていく上で、校内研究推進の基本的な考えを次の三つに押さえました。
1) 校内研究は、実践的研究であること
校内研究の現状から、今、解決・改善を図らなければならない自校の課題や授業改善・充実のための課題に対して、考えられる解決方法から実践可能で最も有効と思われる方法を選んで行う実践を通した研究であること。
即ち、取り組まなければならない課題が沢山あっても、それを絞り限定すること、その限定した課題を到達可能なものに具体化すること、そして、解
表1 研究推進上の実践課題
校内研究推進課程 実践課題 計画の段階 研究課題の集約 1)児童生徒や教師のニーズを生かした研究課題の集約はどうすればよいか。 研究主題の設定 2)研究課題を生かして共通理解を図りながら研究主題を設定するにはどうすればよいか。 研究組織づくり 3)研究意欲を促す組織は、どのような手順・内容でつくればよいか。 研究推進計画づくり 4)到達目標達成までの過程が明確な年間推進計画は、どのような手順・内容でつくればよいか。 実施の段階 研究時間の確保 5)研究時間を実質的に確保し、研究の成果をあげる運営はどうすればよいか。 授業研究 6)研究意欲を高め、授業の質的改善を図る授業研究はどうあればよいか。 研究資料の収集と活用 7)研究主題到達までの資料の収集・活用はどうあればよいか。 リーダーのあり方 8)校内研究会におけるリーダーの援助指導は、どうあればよいか。 評価の段階 研究推進の形成的評価 9)研究推進における形成的評価の内容・方法はどうあればよいか。 研究推進各段階の総括的評価 10)研究推進の各段階における総括的評価の内容・方法はどうあればよいか。 評価結果の活用 11)評価結果を次年度に生かすにはどうすればよいか。