教育福島0150号(1990年(H02)10月)-039page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

なものに具体化すること、そして、解決のための方策(仮説)を持って実践し、解決・改善を図り、また次の課題に取りかかること。

この繰り返しで研究を推進することです。(研究法ではアクション・リサーチという)

2) 校内研究は、児童生徒の実態に即した研究であること。

各学校、各児童の実態は皆違います。研究は飽くまで自校の実態に基づく問題点を解決・改善するものであり、それは、広い意味での学力向上、人間性の育成に結びつく研究であること。

そのため、その研究が学校にとって今必要なのかどうかを検討し、確定して、到達目標の具体化と内容・方法・手順の明確化に十分時間をかけて共通理解を図ることが大事です。

3) 校内研究は、教師の指導観、指導方法・技術の向上を図る研究であること。

研究は、前記1)2)を踏まえて実践すべきであるが、同時にその実践は、各教師の指導力の質的向上と授業やその他の教育活動の改善・充実に結びつく研究であること。

そのためには、全員が参加可能な研究であり、成果を共有化するための内容、方法を明確にすることです。

 

四、「校内研究のすすめ方」をまとめるに当たっての配慮点

 

本研究をまとめるに当たって特に配慮したことは、研究推進の基盤である「協働意欲=モラール」を高めるにはどうしたらよいか、ということです。

このことは、研究を実践する各教師の「やりがい」に結びつくものであり、各学校で最も苦労していることです。

モラールは、教師個々人の自覚にかかわる面が多分にありますが、校内研究が主題に基づく共同研究であることを考えると、「校内体制の中で相互啓発や自己啓発を促す意識態勢、組織体制、企画運営をどうするか」がモラールを高める上でのポイントになると考えました。

そこで、モラールを高めるために特に次の点に配慮しました。

1) 教師及び児童生徒の希望やニーズを生かすこと

2) 実態を踏まえた研究であること

3) 到達目標や推進過程を常に明確にして進めること

4) 研究実践の手順、内容、方法を明確にして進めること

5) リーダーの援助内容を明確にし、リーダーシップを発揮して進めること

6) 実質的な研究時間を確保して進めること

7) 常に評価しながら進め、その成果を生かすこと

以上の基本的な考えで研究をまとめ「校内研究ハンドブック」を作成したので、次にその内容を紹介します。

 

五、「校内研究のすすめ方」(ハンドブック)の内容

 

「校内研究のすすめ方」(ハンドブック)は三つの章から構成され、その内容は次のようにまとめられています。

(1) 第1)章「校内研究ハンドブックのめざすもの」

校内研究について前記のような基本的な考えを中心にまとめてあります。

(2) 第2)章「校内研究のすすめ方の実際」

1) 各題名1)〜11)は、意図・ねらいを表現しています。(表1参照)

これらの題名は、アンケート調査結果から現在最も必要な実践課題であり、教師のニーズにも応えるものとして設定しました。

各校の研究推進に際しては、この十一課題を通しても、また、各課題一つだけでも活用できるように考慮してまとめてあります。

2) 内容的には「研究のすすめ方」「研究の具体策と配慮事項」から成っています。

ここでは、各題名ごとに研究を進めていく上での具体的な内容、手順、配慮点が述べてあります。

(3) 第3)章「校内研究Q&A」

1) 研究論文の適切なまとめ方

研究論文の形式とそれを受けて研究主題の表現のしかた、研究の趣旨、研究仮説の書き方〜研究の成果と課題のまとめ方等、Ql〜Q6で解説してあります。

2) 研究を進める上での諸調査

実態把握の諸問題、研究主題設定・研究仮説設定のための調査、調査実施上の留意点…等、Q7〜QlOに解説してあります。

3) 研究推進上の悩みから校内研究協議会への参加の心構え、研究授業者の心構え、公開研究会への参加の視点…等、Q11〜Q18まで解説してあります。

これらの設問は、各校からの調査に基づいて作られたもので、どの設問も各校研究推進上の悩みでもあろうと思います。各校のニーズに応え、どうすれば解決、改善が図られるかを基本においてまとめたものです。

また、第3)章には、第2)章「校内研究のすすめ方の実際」の中で使われている用語から特に解説が必要と考えられる用語、KJ法、ブレーンストーミング 等、十一の用語について意味概念に加えて研究推進とのかかわりにもふれながら解説してあります。

 

以上、三年間の研究としてまとめた「校内研究のすすめ方」の概要を紹介しました。詳しくは当教育センターの研究紀要78号及び「校内研究ハンドブック」をご覧ください。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。