教育福島0150号(1990年(H02)10月)-045page

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博物館ノート

日本を代表する大型ハ虫類化石

フタバスズキリュウ

フタバスズキリュウはハ虫類の首長竜に属します。首長竜は中生代ジュラ紀から白亜紀に世界中の海に住んでいた大型のハ虫類で、首長竜は誕生した初期の段階で、頭が小さく首の長くなる方向へ進化したグ

ループと逆に頭が大きく首が短くなるグループに分かれました。前者では北アメリカから発見されたエラスモサウルスが有名ですが、フタバスズキリュウはこのエラスモサウルスのなかまと考えられています。

フタバスズキリュウは、昭和四十三年にいわき市大久町入間沢の橋より数百メートル上流で、当時高校二年生であった鈴木直さんによって発見されました。これをきっかけに、国立科学博物館によって本格的な発掘が行われ、五百個ほどある首長竜の骨のうち半分近い骨が見つかりました。首の部分は川の浸食によって失われていましたが、幸い頭骨-胸骨・四肢骨・骨盤など重要な部分が見つかり、それをもとに全身の骨格が復元されました。環太平洋地域でもこれだけまとまって見つかった例はなく、首長竜の生態や進化を解明する上でたいへん貴重な標本です。骨格から想像すると、フタバスズキリュウは前後のヒレを使って泳ぎ、長い首を動かしてアンモナイトなど水中の動物を食べていたと考えられます。

フタバスズキリュウの生きていたのは、今から約八千万年前の白亜紀後期です。当時の

日本は東アジアの大陸の一部であり、陸は恐竜が、海は首、長竜のほかに魚竜やモササウルス(海トカゲ)などのハ虫類が支配していました。それらの大型のハ虫類は、白亜紀末に突然地球上から姿を消してしまいました。その絶滅の謎は、まだはっきりとは解明されていません。

県立博物館では、このたび国立科学博物館にある原標本をもとに全身骨格の複製を製作しました。まもなく常設展示室にお目見えしますので、この日本を代表する大型ハ虫類の化石をじっくりご覧ください。

白亜紀の大陸分布(約9000万年前)

白亜紀の大陸分布(約9000万年前)

白亜紀の大陸分布(約9000万年前)

フタバススキリュウ全身骨格化石(複製)

フタバススキリュウ全身骨格化石(複製)


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