教育福島0151号(1990年(H02)11月)-008page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

特集1

楽しい学校づくりのための特別活動

義務教育課・高等学校教育課

 

望ましい集団活動の育成を目指して

−小・中学校−

特別活動は本年度から新学習指導要領に基づく指導が実施され、各学校においては特別活動のねらい達成のために指導計画の作成や指導方法等について工夫していることと思われる。

特別活動実践の基盤となる学校自体の在り方を確立し、全教育活動を通して児童生徒の自主的、実践的な集団活動を生かすことやすべての児童生徒に喜びのある体験を与えて、魅力ある楽しい学校づくりに努力することが、今学校に求められている。

 

1、特別活動の果たす役割

 

特別活動が従来以上に重視されなければならないことは、教育課程改善のねらいのひとつである「豊かな心をもち、たくましく生きる人間の育成を図る」ことからもいえる。人間性の教育、心の教育は学校教育活動全体を通して行うべきものであるが、実践的態度、実践活動を育てる点についてはとりわけ特別活動における取り組みが重視される。

特別活動の目標の冒頭に小・中学校ともに「望ましい集団活動を通して」と示されている。これは特別活動の性格を考える場合、その基本となるものであり指導原理となる。また、児童生徒が様々な集団に所属し、互いの人格を尊重し、認め合い、個性を伸長していくなど、児童生徒の相互作用を重視した望ましい集団活動の育成が求められている。そこでは集団生活の改善、向上を目指して集団の一員として、よりよい生活を築くための役割分担や協力など、責任ある諸活動を通して望ましい人間関係が築かれ、集団への所属感や連帯感、それに基づく安定感が生まれ、成員相互の間に心理的な絆が形成されてくる。特別活動はそのような望ましい集団活動を通して行われるところにその意義や性格を持っている。擬似体験や間接情報ではなく、学校や学年を単位とする集団活動、児童会、生徒会活動、クラブ活動などを通して多様な人間関係を肌で体験させる意義は大きい。遠足(旅行)、集団宿泊的行事や勤労生産、奉仕的行事などの学校行事、ボランティア活動など、いずれも「なすことによって学ぶ」意義を大切にしながら、児童生徒が個々に直面する諸問題への対応や解決の仕方を集団場面を通じて、実践的、体験的に学ばせることが可能となる。児童生徒はこれらの諸活動を通して、主体的に物事を選択決定し、自らの行動の在り方を体得し、自主的実践的な態度を身に付け、集団の中での望ましい人間関係を習得していくのである。

教師と児童生徒、児童生徒相互の人間的な触れ合いを大切にしながら「望ましい集団活動」を通して特別活動が機能していくことが、今日の学校教育に大きく期待されている。

 

2、児童生徒の現状と問題点

 

(一) 家庭における問題状況

児童生徒がその成長過程で、影響を大きく受けるものは、家庭環境である。

しかし、今日における家庭環境には多くの問題点がある。核家族化、少子化が進行しミニ社会としての家庭の機能が失われてきている。以前は三世代が同居し、多くの兄弟姉妹など、縦、横の人間関係が複雑に交錯する中で、子どもは小さな社会の一員として様々な生活経験を積んできていた。遊びやけんかなどを通じて、自他の尊重、思いやりの心情、耐性なども体得できたのである。こうした家族構成の変化とそれに伴なう家庭の教育力の低下が大

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。