教育福島0151号(1990年(H02)11月)-019page
で、人とのふれあいを大切にする豊かな心を養う。
(3) 実施日時 平成元年十一月四日(火)
午前八時三十分〜十一時三十分
(4) 参加者 全校生徒百七十五名
(5) 活動内容
1) 訪問の対象 六十五歳以上の方
2) 事前活動 生徒会を中心として準備を進め、訪問の約一週間前に時間を設定し次の準備を行う。
・ 班編成を行い、班長を決める
・ 班ごとに訪問可能なお宅を第三希望まで決める。(以前に訪問したお宅は、できるだけ除く。班長は訪問三日前までに訪問宅の都合を聞いておく。なお、敬老の日の「お年寄りへのお便り」を出したお宅との関連に留意する。
・ 活動の内容を班ごとに決める
・ 生徒会は、当日のお土産としての手作り品を何にするか、どういう方法で作成するかを検討し実施する。(元年度は美術クラブ作成による七宝焼きのついたスプーン)
(6) 訪問地域 金山町、昭和村のほぼ全域、三島町の一部 合計約七十軒
(7) 当日の活動内容
1) 話をうかがう
・ お盆、正月の行事等のしきたり
・ 冠婚葬祭のしきたり
・ 地域の地理的変化、現在との比較
・ 昔の暮らしぶり 等々
2) 作業をする。
・ 作業の手伝いをさせてもらう
・ ワラ細工、民芸品等の作り方を習う
3) その他、班で工夫したこと
・ 肩叩き
・ お掃除 等々
(8) 注意事項 この訪問活動は、お年寄りを励ますとともに、自分自身も高齢者から何かを学ぼうとするもので、相手が高齢者であることを十分意識して次の事に注意すること。
1) 高校生らしく活動しやすい服装
2) 言葉遣いの注意
3) 「してあげる」ではなく、「聞かせてもらう、させてもらう」という気持ちを忘れない。
4) 昼食は遠慮する。十一時すぎには訪問を終了することを前以て伝えておく。
5) 訪問時間は一時間半程度とする
(9) 訪問後にする事
1) 訪問した結果をまとめて十一月七日までに生徒会へ提出する。
2) 二〜三日以内に訪問先に礼状を出す。
※ 教員の方部分担 七方部
・ 方部別の打ち合わせの指導
・ 当日活動の巡回指導
・ 学校長の挨拶状
・ 関係資料の記録、整理
さいごに
楽しい学校、魅力ある学校、その基盤となるものは指導者、教職員の資質がどうであるかにかかっているといえる。教師集団が学校の教育活動に目的を持ち、個々の教師としての目標を持ち、抱負を持って日々の実践を続ける努力、勇気、情熱を有していれば、それは生徒に、地域にはねかえり、学校という集団の和が一人一人の力が掛け合わされて「積の力」として無限に伸展していく。こう言うと、いささか大時代的で理想を語るのみといわれかねない。それほど、現今の教育を取り巻く環境はたしかに厳しいものがある。にもかかわらず川口高校においては、その厳しい状況に向かって教師の力に信頼を置き、これまでの信頼を受け継ぎ、守り、実践をして語らしめ、状況を切り開いてきた。
その証左として本校校長の語る言葉を「語録」より抜粋し、本校教育実践の報告をしめくくることとする。
* 川口高校は決して君たちの期待を裏切らない。川高はいま君たちが考えている以上に充実した学校です。諸君を大事にします。なぜなら、人と人との関係というものは互いの信頼の上に成り立つものであり、その信頼関係の上に本当の学校生活や教育があると考えているからです。だからここでの高校生活には素晴らしい出会いがたくさんあるし、暖かい心のふれあいもたくさんある。この学校に期待をし、先生や先輩や友達を信頼し、自分自身は精一杯努力して、かけがえのない青春を完全に燃焼させてください。
(一九九〇年 入学式)
* 教員は、生徒の人権を尊重する--人権感覚を持った常識人でありたい。 (同年 第一回職員会議)
* ものの学び方に、書物から学ぶ、人から教わって学ぶ、仕事に携わって学ぶと三つの方法があるといわれる。しかし書物を読んで自転車に乗れるようになった人はいない。やはり自分で乗って、こいでみて本当に乗れるようになる。
私は、ツブツブのしょっぱい汗をいっぱいかいてわかるのが本当の「わかる」ことだと思う。
(同年 わらびとり大会)
お年寄り宅訪問でのなごやかなひととき