教育福島0151号(1990年(H02)11月)-042page
の増設と進路指導に関する父母の負担を軽減するための補助。(3)学問的な技術に加えて生徒一人一人の実態や要求を的確に把握し、対処できる能力や幅の広い人間性に重点をおいた教員の採用と研修の充実。
2 国際化時代に対応した学校づくり
世界の一員として国際社会の中で信頼されるような日本人を育成するためには国際語としての英語(実用英語)をきちんと教育する必要がある。これに関して次の点を考慮して欲しい。
(1)英語を「生きた言葉」として、中学校、高校(理想を言えば小学校低学年から)で教えること。(2)外国人の英語教師の増配。(3)高校生の県費留学制度の設置と、休学せずに留学できるような配慮。(4)県立高校での「国際科」の新設
建設的な意見や要望が出された広聴会
○加藤裕美(子供美術倶楽部主宰)
−子どもたちが自己表現できる人間になるために−
子どもたちは、自分の興味やその時の気持ちなどによって自由に様々な絵を描く。
私はこのようにその人その人が持っている色彩、形などの創造力を自由に引き出してやれればと思って教室を開いているが、この体験をもとにお話をする。
1、表現することの楽しさと学校での図工、美術教育
学校の図工、美術の時間ではどうしてもでき上った作品だけを大切にしがちだが、その人の制作過程にポイントを置き、どのくらい集中し、楽しんでいるかをよく見て欲しい
2、年齢差のある集まりの中での教育の推進
年齢差のある集まりの中での教育は決して無駄ではない。上を見て、下を見て、自分が今どんな立場にいて、何をしてあげられるのか、また、何をしてもらいたいか……そんなことを考えられる人間に育ってくれたらと思う。
3、小学校にプラス・ワンの楽しみを
小学校は幅広い年齢の集団で、これを生かして、例えば、五、六年生が三、四年生が作った紙芝居を一、二年生に読んでやるといった学年間の交流はできないか。また、普通学校の中にある特殊学級の子どもは、それぞれの学年のクラスに分けた方が子どもたちにとっては有意義だと思う。子どもたち自身が障害のある子どもを現実として認めることからやがて人間として共に生きる姿勢を身につけて欲しいと思う。
○櫻井和明(県PTA連合会長)
−心身ともに豊かな教育の実践−
1、学校、家庭、地域の連携を強めるために
「スポーツ少年団」は子どもたちのスポーツ活動を中心にして地域、家庭、学校の結びつきが図られている教育集団。学校、家庭、地域との連携を深め、教育の効果を高めるための一方法として、「スポーツ少年団」を介しての三者のより良い関係を形成することができればいいのではないかと思う。「スポーツ少年団」の運営について、各学校、各地域にまかせる自主的な面に加えて、県としての広い視野から様々な温かい配慮をさらにお願いしたい。
2、教職員の資質の向上を図るために
(1) 再研修制度の確立
初任者研修制度等に加えて先生方に多くの研修の機会(例えば十年目ごとの再研修の制度)などを与え、日々成長する子どもたちのより良い教育に当たって欲しいと願う。同様の観点から海外研修の機会を増大させ、さらに沢山の先生を海外研修をさせることができればと考える。
(2)定年制の見直し
激動し、高齢化する社会で第二の人生を踏み出すためには六十歳では少し遅すぎるのではないか。また生涯教育のリーダーとして地域の受け皿になって活躍してくれる点も考えると例えば教諭の定年は五十五歳でもいいのではないか。一方校長先生については、地域の伝統を重んじてその上に自分の教育観に基づく学校を作るために、腰のすわった教育を行ってもらいたい。そのために例えば定年が六十五歳でもいいのではないかと考える。
○工藤正二(日本コロムビア株式会社総務課長)
−子供たちにより強くより良く未来を生きる力を身につけさせるために−
1、知育偏重教育からの脱皮
企業側から採用者を見て問題となるのは第一に、人間関係を保つ上の潤滑油となる「あいさつ」が満足にできない人が多いこと。第二に、地域性が多分にあるとは思うが、正しいことば使いができないこと。第三に、感動したり、同情したりする心が乏しいことなどがある。職場が機械化、省力化され、人間性が疎外されているといえる時代だけに、これらが非常に重要なものである。ペーパーテスト偏重から、もう少し人間の生き方なり徳育といったものを教科の中に取り入れてもらいたいと思う。さらに、知ってはいるが実践はしていないという傾向が強いようなので、知識と行動が相俟って一つになるという教育にも留意して欲しい。
2、教育者のリーダーシップの強化