教育福島0151号(1990年(H02)11月)-048page
研究指定校の実践
1 教育課程(文部省指定)
〜県立郡山女子高等学校〜
2 情報処理教育(県教育委員会指定)
〜県立郡山商業高等学校〜
福島県立郡山女子高等学校は、昭和六十三年度から二年間にわたり文部省指定研究「生徒の能力、興味・関心等に応じて多様な選択科目が履修できるようにするための教育課程の編成・実施上の工夫」に取り組んだ。この中で1)教育課程編成の工夫 2)学習指導法の工夫・改善 3)学業指導・進路指導の充実の三点について研究実践を行い、大きな成果を収めた。
また、福島県立郡山商業高等学校では、昭和六十三年度から二年間にわたり福島県教育委員会指定研究「コンピュータ等を活用しての各教科における指導内容及び指導方法の改善」について研究実践を行い、その成果の発表は県内の関係者の間で大きな反響を呼んだ。
新しい学習指導要領が告示され、その改訂の中で、教育課程の弾力化、指導方法の工夫、進路指導の充実や社会の変化への対応、特に国際化や情報化への対応などが強調されているが、両校の今回の取り組みは、その意味で時宜に適ったものであり、二十一世紀への方向を指し示す優れた研究実践である。
ここに、両校の研究実践の概要を紹介する。
生徒の能力、興味・関心等に応じて、多様な選択科目が履修できるようにするための教育課程の編成と実施上のくふう
-県立郡山女子高等学校-
一、研究のねらい
本校においては、従来から情操豊かにして知性の高い女性の育成をめざし学校の実態や生徒の能力・適性、進路等を考慮した教育課程の編成に取り組んできたところである。しかしながら、普通科、家政科、保育科の三つの学科を擁する本校の生徒の興味・関心はもとより、進路の状況もさまざまである。そのため、生徒が学校に求めるものも多様である。このような状況の中で生徒一人一人の能力、興味・関心等に応じて、多様な選択科目を設定し、さらに各教科・科目の効果的な学習活動をとおして学力の向上を図ることにより、生徒は生き生きとした学校生活を送り、自己実現を図ることができるだろうと考え、この主題を設定した。
二、研究実践内容
1、諸調査による実態の把握
1) 昭和六十二年度実施の「学習と進路についての意識調査」から問題点をさぐった。
2) 昭和六十三年度に生徒、保護者に対して、より具体的な「教育課程の編成・指導法の改善のための調査」を実施した。
3)進路希望と類型とのミスマッチの状況を調査した。
これらの諸問題の結果から、本校のかかえている課題をいくつかさぐり、その解決法として次の三点にしぼり、研究実践を推進することになった。
1) 教育課程編成の工夫
2) 学習指導の工夫・改善
3) 学業指導の在り方
四十六ページの図はその関連を図式化したものである。
2、教育課程の編成の工夫
1) 普通科の教育課程の編成
編成の基本方針は次のとおりである。
ア 一年次は国語、数学、英語を増単し、基礎力の充実を図る。
イ 二年次に進路希望に対応して三つの類型に分け、進路に対応した教科・科目が履修できるようにする。
ウ 三年次には類型内に選択科目を設けることにより、一層進路に対応した履修ができるようにするとともに、進路希望の変更にも対応できるように、類型を越えた選択もできるようにする。
各類型のクラス数は、一学年の早い時期に進路意識の高揚を図り、自分の進路希望と類型の選択についての十分な指導を行うという土台にたって、生徒の希望にできるだけ近いクラス数とする。このことにより、選択時のミスマッチはかなり防げるはずである。
また、類型を越えての選択を可能にすることで進路変更に対してかなり対応できるものと考えられる。しかしながら、クラス数の変動、類型を越えた選択等により、講座数が今までより増加し、教師の持ち時間が増加すること