教育福島0151号(1990年(H02)11月)-058page
ふくしま施設の散歩道
安積開拓の象徴
開成館
郡山市開成三丁目3−10
(〇二四九)二三−二一五七
福島県のほぼ中央に位置し、交通の要衝で、経済活動の中心地でもある郡山市は、百二十年程前までは未開の原野でした。
安積原野に組織的な開墾の鍬が入ったのは明治維新になってからのことです。池を掘り、桜を植え、神社を移奉し、十間道路を設ける等の事業の末に、安積疏水工事へと進展して、今日の郡山地方発展の礎を築いた安積開拓事業。これを象徴するのが「開成館」です。
現在の建物は明治七年九月に、開拓関係県官駐在の用を兼ねる安積地方区会所として建てられました。約二千四百円を投じて完成したこの建物は、明治八年に行われた落成式の折に、当時の駐在県官で、後に安積開拓の父と呼ばれる中条政恒(作家宮本百合子の祖父)によって「開成館」と命名されました。
「開成館」は、その後、安積郡役所、農学校、桑野村役場などに転用され、戦後は一時住宅に用いられて荒廃しましたが、昭和三十五年に明治洋風建築として県重要文化財建造物の指定を受けました。
昭和四十一年に復原工事を終え、現在、「開成館」は、江戸時代後期から戦前までに郡山地方で使用されていた各種の民俗資料や、中条政恒の遺品、開拓関係資料等を展示する施設として一般に公開されています。
磐梯山慧日寺資料館
耶麻郡磐梯町大字磐梯字村西四七一七
(〇二四二)七三−三〇〇〇
会津仏教文化発祥地として、平安時代初期の八百七年に高僧徳一によって開基された慧日寺を有する磐梯町は、史跡慧日寺跡の保存と公開・活用を図るために、史跡内の環境整備と、史跡外の周辺整備を行っています。
資料館は、慧日寺仏教文化の解明と公開を行いながら、文化財の保護と資料の調査及び寺院跡の研究機関としての機能を充実させる施設として、昭和六十二年八月に開館いたしました。
施設は、展示ホール・第一・二展示室・企画展示室・四十名収用の研修室等が備えられて、慧日寺に関連する展示館として、山岳信仰資料、史跡発掘調査に基づく考古資料を中心に仏教美術・工芸資料及び書籍等を展示公開しています。
また、造園修景された敷地内には、会津の馬頭観音信仰の総本山として栄えた厩嶽山馬頭観音堂に残る馬頭観音資料を展示する宝形造りの資料館別館があり、また、日本名水百選の磐梯山西山麓湧水群の中心をなし、古くから雨乞いの行を行っていた龍ケ澤より、豊富に湧出る清水を敷地内に引水しています。
会津地方の歴史探訪の拠点として、年間多くの人々が訪れています。