教育福島0152号(1991年(H03)01月)-010page
特選入賞論文
確かな読みの力を育てるための音読・朗読の指導
−文学的教材における「表現」と「理解」の関連を通して−
小高町立金房小学校教諭 木村恵子
一、 主題設定の理由
新学習指導要領で国語科に強く求められたのは"適切な表現力、正確な理解力"であり、音声言語による表現力は従前以上に重視された。
しかし、これまでのような黙読中心の授業では、児童本来のもつ表現意欲を満たしてやることができないばかりか、文章を正確に読むという基礎的・基本的内容を身に付けさせることも十分にできない傾向にあると考える。
ところで、従来軽視されがちであった音読・朗読という言語活動は、理解活動でもあり表現活動でもある。
そこで、児童が本来的にもっている表現への意欲を大事にしながら、文章を音読することで理解し、その理解をまた音読で表現に返す指導を実現させたいと考えた。
つまり、「表現」と「理解」の交互作用の過程で思考力・表現力を高め、確かな読みの力を育てていく音読の指導を目指し、本主題を設定した。
二、研究仮説
音読に関する基礎的な技能を身に付けさせるとともに、理解したことを音読によって表現したり、表現することによって文章の理解を深めたりする相互作用のおる学習活動を工夫していけば、確かな読みの力が育つであろう。
「確かな読みの力」とは、
○語句や文を正確に読む力
○叙述に即して理解を深める力
○文章を味わったり、読み手に伝えたりする力
以上三つの力が総合的に育っていくことと考えた。
資料1 音読の領域別系統表 【3年】
三、 研究内容
(一) 音読に関する具体的な指導目標の設定の仕方の追求
(二) 音読を生かした指導計画、指導過程の在り方についての研究実践
(三) 音読の基礎的技能を身に付けさせるための指導方法の追求
(四) 表現と理解を有機的に結び付ける指導方法についての研究実践
(五) 自己評価の在り方についての研究実践
四、 研究実践
(一) 読みの目標の設定
(1) 音読において指導すべき具体的な内容(読みの目標)を明確にするため、音読に関する指導内容を学習指導要領をもとに洗い出した。
(2) 各学年の目標を明らかにするとともに、具体的な読みの目標を明示した「音読の重点指導事項」との表を作成した。この表に示した具体的な指導目標は、学年の目標をそれぞれの項目ごとに具体化したものであるので、単元ごとに具体的な指導目標を位置付け指導を継続していけば、学年の目標が達成できるものと考えた。
(3) (2)をもとに第三学年ではどの教材