教育福島0152号(1991年(H03)01月)-021page
りやすいという意見があがっておりこの組織作りの妥当性を裏付けている。また、生徒会顧問の組織作りにおいても、弾力的指導をする上で責任分担制が効果的な働きを果たしている。
b. については
(1) 自分の所属する委員会の活動が、学校生活のために役立っていると考えるものが九割前後おり、各自が委員会活動は意義あるものであるととらえている。
(2) 委員会活動を積極的に、協力して活動している生徒は八割前後を超えることと、aの(4)の内容から、委員会活動が身近な活動として定着しつつあり、学級内における各委員会の活動の姿がお互いに見え始めていることがうかがわれる。
(3) 委員会と学級との連携を図るために、各委員が学級でその役目を果たしていると答えている者は、五十パーセントである。また、学級の中で各委員が具体的にする仕事があると答えた者も同程度である。
このことは、bの(2)の事を考慮に入れ、また委員会そのものの活動が活発になりつつあることを考えても、学級活動と委員会活動との関係がまだ十分ではないと考えられる。
(4) 委員会間の活動でも、合同常任委員会活動を行ったが、もっと相互の協力を図る具体的な手立てがさらに必要である。
c. については
(1) 定例常任委員会の集合場所、回数時間はほぼ適当である。
(2) 生徒会のスローガンを理解している生徒が四月と比べ九月に約二倍に増加していることや生徒会活動が全体として活発になったと答えた生徒が、昨年から比べて二倍に増えたのは、定例常任委員会や計画的な広報活動および「生徒会の時間」の設置が手立ての一つとして効果的に働いていることが推察できる。
d. については
手立てdは、広く解釈すれば生徒会のすべての活動を含むものだが、ここでは基本的生活習慣の確立に関連し、参加意識の高揚につながる身近な活動に範囲を絞って「0運動」について考察する。
(1) 「0運動」の内容を理解している生徒が九割近くおり、参加した各委員会の具体的な活動内容が、全校生に印象深く残っていることが分かる。
このことは、「0運動」を生徒自身が身近な運動としてとらえていることをうかがわせる。
(2) 「0運動」が三つの内容もしくはその一部について効果があったと認めている者が効果がなかったと答えた生徒の五倍に達したのは、生徒会の組織をあげた活動が自らの実践を通して、参加意識の高揚と成就感につながったことを示唆している。
e. については
(1) 学校行事などにおいて積極的に参加していると答えた生徒は、昨年に比べて今年は三割も増えたのは、生徒会活動に関する学校行事において、その改善・充実のためいろいろな創意工夫を凝らしてきたことが、効果として現れてきたことを示している。このことは、生徒会行事を改善するアンケートからもうかがい知ることができる。
以上の結果から、仮説は、生徒会活動における意識が高揚し、自主的、実践的な生徒会活動が展開されるうえで有効に働いたということができよう。
五、 研究の成果
(一) 組織のあり方として
(1) 全校生徒を対象に、本校の規模や生徒の実態にほぼ適した、十五委員会(風紀週番委員会を含む)の組織を編成することができた。
(2) 各委員会の活動内容は、学校生活の充実や改善向上を図る視点と、学級活動との関連の視点から見て、内容的に十分であり、生徒の実態に合わせ、分類することができた。
(3) 委員会活動の意義をほぼ全員の生徒が認織することができた。学級活動との関連がまだ十分でない点があるとしても、新しい委員会活動も含めてその活動が身近な活動として定着しつつあり、また相互評価から、自治的な芽が育ちつつある。
(4) 教師の指導組織において、特に生徒会顧問部会では、弾力的指導をする上で連携を取りやすい指導体制が図られた。
(二) 運営のあり方として
(1) 「定例常任委員会」や「生徒会の時間」の設置、並びに計画的な広報活動などが、委員会間の連携や一般生徒の生徒会活動に対する意識を高揚させるうえで効果的であった。
(2) 生徒会に関する学校行事が、創意工夫により、本校の実態に合わせて改善された結果、生徒一人一人の参加意識の向上を促した。
(3) 基本的生活習慣に関する諸問題を生徒自身の身近な「0」運動の中でとらえ、その解決を自らの活動を通して図ろうとする実践力の芽を養うことができた。
六、 今後の課題と改善
本校の望ましい生徒会活動の姿を求めて、実践研究してきた訳であるが、短い時間であり、深く追求できたとは言えない。現在は今後の課題が見えてきたという段階である。
(一) 学級の中で、各委員としての活動が十分定着していない。学級活動と委員会活動の連携を深めるため、評価計画も含めた相互の活動の充実が課題として残されている。
(二) 諸活動の計画や実践において、生徒一人一人の考えをより一層生かし、主体的でより身近な生徒会活動を育てる必要がある。