教育福島0152号(1991年(H03)01月)-022page
特選入賞論文
学習意欲を高めるためにパソコンをどう活用すればよいか
矢吹町立矢吹小学校教諭 佐藤政亮
一、 研究主題設定の理由
近年の著しい傾向である国際化、情報化社会の状況のもと、新学習指導要領が平成元年三月に告示され、それぞれの学校段階に応じて情報化への対応が図られた。小学校においては、コンピュータに慣れ親しませることを基本とし、教科の指導において指導の効果を高める観点から利用したり、クラブ活動での利用などが考えられるとしている。
最近の児童の様子を注意深く観察していると、たしかに素直で良い子なのだが、積極性に欠け、やる気に乏しく授業中活発に発表したり、自分から進んで学習したりする児童が少ないのが現状である。その原因はいろいろ考えられるが、学習指導上の問題点としては、指導パターンが固定化したり、教師主導型の授業になってしまっていることなどがあげられる。
そこで、マンガやファミコンが好きな児童が、興味を持って授業に臨めるように、教育機器としてのコンピュータを授業に位置付け、効果的な活用の在り方を研究していこうと考え、本主題を設定した。
二、 研究仮説
児童一人一人に、自ら考えようとする学習態度を育てるために、コンピュータの特性を生かし、活用の場と方法を工夫して指導すれば、児童の習意欲も高まり、生き生きと学習に取り組むだろう。
真剣なまなざしでパソコンに取り組む子どもたち
三、 研究計画(省略)
四、 研究内容
(1) コンピュータの特性
活用にあたっては、コンピュータのもつ機能を踏まえておく必要がある。
1) ドリル機能−−問題を解くことによって、学習内容の定着を図る。
2) チュートリアル機能−−コンピュータがチュータになり学習を進める。個に応じた学習・主体的学習に役立つ。
3) 提示機能−−教材提示・フラッシュカード・演示等。
4) シミュレーション機能−−擬似体験・実際に見ることができない事象をモデル化して表わす。
5) 情報検索機能−−学習情報の提供・図書検索の支援・資料調べ・学習検索など。
(2) コンピュータを利用した学習指導法の基本的な考え方
先に述べた特性を踏まえ、観察・実験等体験学習と結び付け、自ら考え、工夫し、学ぶ力を付けさせるような方向で利用していく。
1) 自ら考える児童の育成をめざし、思考力や問題解決能力を高める活用のあり方を工夫する。
2) 一人一人を生かし、個人差に応じる学習指導を進める上から、教科及び指導過程の各段階に応じた利用法を工夫する。
3) 基礎的・基本的内容を定着させる手だてとする。
(3) 学習指導における効果的活用
1) 一斉授業での活用
個人用二台という限られた設備を有効に活用する。ディスプレーは大画面のものを使用。
2) 指導過程の工夫
指導過程にコンピュータの活用を位置付ける。
ア 教材提示や実験・実習の説明など、教師の教授の助けに使う。
イ 自分の能力・適性に合わせて自主的に進める個別学習に役立てる。
ウ 問題解決の過程で、解決の手段の