教育福島0152号(1991年(H03)01月)-049page

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博物館ノート

鹿島町真野古墳群出土

金銅製双魚袋金具

金銅製双魚袋金具は、昭和二十三年、鹿島町真野古墳群の寺内二〇号墳の発掘調査に際して出土したものです。この古墳からは他にも円頭大刀、鉄鏃、欽斧、轡などが出土しており、六世紀の古墳と考られています。

この金具は、発掘当時ハラハラだったのですが、修復と保存処理が行われ、現在では昔の姿に近い形で、博物館で展示されています。

二点ありますが、どちらも二匹の魚が向かい合った形をしています。銅の地金に金メッキがしてあり、魚の鱗や鰭は小さな工具で打ち出して表現してあります。現在は金メッキの大部分が剥げてしまっていますが、当時は金色に輝く、大変はなやかなものであったと思われます。

この金具を良く見ると、縁に小さな穴があいていて、表と裏には布の痕跡が見られます。おそらく布に縫い付けられた飾りものであったのでしょう。

ところで、双魚形の飾り金具は最近の藤の木古墳の出土例を含めて、全国で六例しか知られておらず、東北地方では本例が唯一で大変に貴重な資料です。

六世紀には、全国的に中国大陸の影響を強く受けた金銅製の遺物が多く出土するようになりますが、本例はその代表的な資料です。古墳時代の東北地方の人々も中国大陸の文化と無縁ではなかったことをこの資料はよく示しています。

昭和五十八年三月に、その重要性が認められ、県指定重要文化財になっています。


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