教育福島0153号(1991年(H03)02月)-029page
せ、音楽を愛好する心情を養うためには、音楽の諸活動を通して音楽の美しさや喜びなどの感動的な体験を基盤として、興味・関心を喚起し、読譜力、聴取力などの基礎的な能力を高める指導に努める。
(二) 生徒の実態、学校、地域の実情等を十分に把握するとともに、実態に応じた指導計画や、指導のねらいを明確にして教材の精選を図り、基礎的な指導が豊かな表現活動の中で、効果的に定着するよう努める。
(三) 音楽の諸能力を的確に身に付けさせるには、生徒自らが音楽の成り立ち、組み立て等に気付き、創造的に音楽の表現ができるような指導の手立てが必要である。生徒一人一人が生き生きと主体的に授業に参加できるよう既成の枠にとらわれない指導法の改善に努める。
二 表現・鑑賞の能力を高める
(一) 歌唱指導においては、視唱力を的確に身に付けるとともに、楽曲の持つ曲趣に合った適切な表現ができる技法と、音楽的な感性が総合的に高められる指導に努める。
(二) 器楽指導においては独奏、重奏、合奏を通して、常に美しい音色と正しい音高を求めるとともに、奏し合わせる楽しさを経験させながら、豊かな表現ができるアーティキュレーションの工夫が身に付く指導に努める。
(三) 創作指導においては、創造性の伸長と創作の過程が指導の中心であり、既存の様式にとらわれない柔軟な発想に基づく生徒の個性に応じた効果的な指導法を工夫する。
(四) 鑑賞指導においては、表現活動との関連を密にして、教材を精選したり課題を設定するなど、音楽の美しさや楽しさの中で、真の感動を得させるよう心掛ける。
(五) 日本の伝統音楽や郷土の音楽については、中学校の共通教材との関連を図り、日本の音楽が生成した背景を理解させるとともに、その楽しさや素晴しさが感覚的にも感得できるようにする。
〔美術・工芸・書道〕
一 表現や鑑賞の指導方法について研究を深める
(一) 指導目標を明確に設定する。
生徒の実態等に応じて教材を精選し指導計画を作成するとともに、教材ごとに具体的な指導目標を設定する。また、一つ一つの教材を通して、どのような能力・態度を育てようとするのかを明確にし、指導の効果を高めるようにする。
(二) 学習構造を明確にする。
生徒一人一人の感性や諸能力を高めることができるよう指導過程を分析し、各段階ごとにどのような行為をさせるかを明確にすることが必要である。また、生徒一人一人が主体的に学習できるよう学習形態等を工夫することも必要である。
(三) 教育機器の活用を図る。
効果的に授業が展開できるように教育機器の活用に関する研究を深めることが必要である。また、学校の実態に応じて、コンピュータの活用にも考慮する。
(四) 評価の方法を研究する。
評価で最も重視したいことは、生徒が意欲をもてるようにするとともに、自らの課題を明確にして、自信をもって活動ができるような評価の工夫をすることである。そのため、生徒の活動結果としての作品のみを評価の対象にすることなく、学習状況等を十分考慮することが大切である。その際、自己評価の効果的な取り入れ方について工夫することが重要である。
二 学習環境等の整備に努める
(一) 教材、教具の整備に努める。
学習活動を充実させるため、自主教材の開発に努めるとともに、教材や教具を計画的に整備し、効果的に活用する。
(二) 学習環境の整備に努める。
生徒の生き生きとした創造活動の場に適するように、教室の環境整備に努めることが大切である。また、校舎内に計画的に作品展示をするなど学校全体の環境整備に努めることが必要である。
外国語(英語)
外国語(英語)の指導に当たっては、学習指導要領に示されている目標の達成を目指し、学校や地域の実態、生徒の能力・適性等を踏まえた指導計画に基づいて学習指導を展開し、常に反省を加えながら、その改善充実を図り、学力向上に努めることが必要である。
一 生徒の実態について
(一) 実態の把握については、学力についてだけでなく、生徒個々の習熟度、学習の仕方の特徴や情意面についても対象にすることが重要である。
(二) 教科書については、生徒の学力の実態を考慮した言語材料や内容であるかどうかだけでなく、学習活動の活性化に効果的であるかどうかの視点からも選択することが必要である。
二 指導法の改善について
(一) 英語教育の目標は、英語の基礎的な能力を養うとともに、国際社会の一員としての教養を培う基盤を築くことである。この意味で、英語の学習に興味・関心を失っている生徒には意欲を持たせ、意欲のある生徒には更に向上を促すような配慮が必要である。