教育福島0154号(1991年(H03)04月)-010page

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自主・主体的な行動のとれる児童生徒の育成をめざす道徳教育

耶麻郡北塩原村

道徳教育推進校(協同推進校)

北山小学校 大塩小学校 第一中学校

 

一、地域の実態

本地域は、山間の温泉郷と近郊農村地帯からなっており、両地域の大塩小・北山小の児童が、そのまま第一中学校に入学する。近年では、共働きの家庭が多くなり、子供の教育にかける時間が少なくなり、ともするとしつけまでも学校にまかせる家庭がみられる。

一方、子供は明るく素直であるが、自主性や根気強さに欠ける面があり、課題になっている。

 

二、研究組織

 

三、研究実践の概要

 

三、研究実践の概要

1、実態に基づいた指導計画作成

各種調査の結果から当地域の児童生徒は誠実、勤労などの面が優れており、自主・自律、規律尊重、時間を守るなどの面が劣っていることが明らかになった。この実態を考慮して「全体計画」「年間指導計画」「学級における指導計画」を作成し実践した結果、自主・主体的な行動のとれる児童生徒の育成のあり方について理解を深めることができ、全職員が共通理解の下に道徳教育を推進し、小・中学校が一貫した指導をするという点で効果があった。

 

2、道徳の時間の改善と充実

(1) 三校で指導案の形式や「主題とのかかわり・授業の視点」などを設定し、それを基に話し合いを進めた結果、研究すべき課題が明確になり、その後の研究推進が容易になった。

(2) 各校で互いに交流を図り授業を実施した結果、地域全体の児童生徒の理解や、道徳の授業に対する理解を深めることができた。(右下写真)

(3) 各校の児童生徒の実態に応じて、価値追求のあり方や指導法を工夫した結果、授業がいきいきとし、自主・主体的な考えが出やすい展開になった。

 

小・中の交流授業の1コマ

 

小・中の交流授業の1コマ

 

3、三校共通実践事項

三校の児童生徒に共通の問題点である、時間にルーズで機敏な行動がとれない、自分の意見や考えをはっきり言えない、などを改善するため、三校共通実践事項として次の二つを掲げ、指導実践を進めてきた。

◇ 「時間を守ろう」

◇ 「話し合いをしよう」

その結果、引っ込み思案だった子も人前で話せるようになり、また、時間への意識も高まってきた。

 

4、家庭・地域社会との連携

(1) 学校・学級だよりによる道徳教育についての情報提供や、道徳教育講演会、道徳の授業参観を実施した結果、家庭・地域社会の道徳教育に対する理解・関心が高まってきた。

(2) 父母と教師が一体となった「クリーン作戦」や「花いっぱい運動」を進めた結果、父母と教師間に親近感や信頼感が増し、また、子供たちの作文や態度からは「郷土を愛する心」や「自然を大切にする態度」が育ってきていることがうかがえる。

(3) 三校の交流授業や共通実践事項への取り組みを通して、地域の特質に基づいた、小・中連携指導の大切さが確認でき、三校教師間の相互理解や信頼も、より深くなってきた。

 

5、今後の課題

(1) 三校協同で研究を進め「全体計画」「年間指導計画」「学級における指導計画」を作成した。今後はこの計画に沿った実践を継続していく中で、小・中学校の連携指導という視点から、より望ましい計画になるよう修正・改善を加える。

(2) 三校交流授業は今後も継続し、発達段階に即した価値の主体的自覚を図る指導方法を更に追求し、身近な資料の教材化に努めていく。

(3) 今後は、より多くの協同実践を通して、三校及び家庭や地域社会との連携指導を一層充実させる。

 

 

 


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