教育福島0154号(1991年(H03)04月)-011page

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研究副主題

自己をみつめ、めあてに立ち向かう児童の育成

北塩原村立北山小学校

 

一、副主題設定の理由

本校の教育目標「自ら遊ぶ心豊かでたくましい北山の子を育てる」は、「人間としてよりよく生きる」ための確かなよりどころを精神及び行動の両面からとらえた子供像である。しかし、めざす子供像は、児童のあるがままの生活からは、なかなか生まれにくいものである。そこで、一人一人の児童の内面をほりおこし、自己をみつめさせて、より高次の行動化をめざす必要があると考え、本副主題を設定した。

 

二、研究実践の概要

(1) 地域の特性を生かした指導計画

道徳教育の全体計画、年間指導計画の改善や学級における指導計画の作成を通して、重点目標や重点指導内容項目を明確にした。三校共通重点指導内容項目と本校重点指導内容項目(中学年4(5)郷土愛、高学年4(7)郷土愛・愛国心)については、配当時数を二〜三時間とし、時期や他教育活動との関連を考慮して指導の充実を図った。

(2) 道徳の時間の改善と充実

1) 指導過程の工夫

まず、資料を通して、共通の場で、主人公あるいは状況に共感させる。次に、多様な価値観の存在に気付かせ、価値の類型化を図る。最後に、現実の自分へ目を向けさせ、自分はどうであったか振り返させる。

このような指導過程により、自分の価値観をさらに高め、価値の内面的な自覚を図らせた。

2) 郷土資料の開発

同じ風土のなかで生きた先人たちの生き方や、郷土の有形無形の文化財等を基に教材資料を作成し、授業を通して、今を生きる自分たちを見つめさせてきた。資料の作成にあたっては、関連図書の研究、聞き取り調査、参考資料の収集等を通して、多くの方々の協力を得ることができた。授業で取り上げた自作資料は、次のとおりである。

ア 郷土に生まれ育ち、社会に貢献した人物

蓮沼門三(修養団の創設)

遠藤現夢(磐梯山噴火後の植林事業)

岩田善平(磐梯山噴火直後の写真撮影)

金田実(写真家、喜多方の蔵の保存)

イ 郷土の文化財、伝統文化

北山まつり、北山祗園ばやし

(3) 道徳的実践の指導

1) 生活のめあてカード

三校共通実践事項と本校実践事項「あいさつをしよう」という事項について、児童一人一人に自分のめあてを持たせて実践した。学級や家庭に評価カードを置き、自己評価をさせ、基本的な生活習慣の定着を図った。追跡調査によると「よくなった」と70%の保護者が回答してくれた。

2) グループ活動

全校児童が縦割りの六つの班に分かれ、業間の時間や創意の時間を利用して、農園作業、ゲーム等の活動を行った。その結果、児童相互の触れ合いが多くなり、望ましい人間関係が形成され、自主的な態度と豊かな心情が育ってきた。

(4) 学校、家庭、地域社会との連携

1) 花いっぱい運動

PTAや地域の人々と共同で学校周辺や県、村道にマリーゴールドを植えて世話をした結果、郷土を美しくしようとする心情が育ってきた。

2) 親子標語づくり

三校実践事項等を常に意識して実践できるようにするため、親子で標語をつくり、看板やポスターなどを作成して、学校の内外に掲示した。家庭と学校の両方で意識化、実践化が図られ、連携意識も強化された。

 

自己をみつめ、めあてに立ち向かう児童の育成

 

自己をみつめ、めあてに立ち向かう児童の育成

 

三、今後の課題

(1) 道徳に関する諸計画の充実と改善に努める。

(2) 指導過程の工夫と授業の充実を図る。

(3) 豊かな体験活動の工夫や手だての研究に努める。

(4) 学校、家庭、地域社会との連携を継続し、よりよい地域社会の形成、発展に努める。

 

 

 


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