教育福島0154号(1991年(H03)04月)-012page
研究副主題
自己をみつめ、進んでやりぬこうとする児童の育成
北塩原村立大塩小学校
一、副主題設定の理由
本校の教育方針として、「自ら考え正しく判断し、健康で人間性豊かなたくましい実践力のある児童の育成」を掲げている。
本校児童は、「明るく素直で親切である」等の長所と、「進んで行動できず、我慢強さがない」などの欠点がある。検査結果などからみても「自主・自律」「反省・節度」「公共心・公徳心」の高揚が課題である。
自ら進んでやろうとする心を育てるためには、豊かな体験活動を通した心にひびく道徳の授業が必要不可欠と考え、本副主題を設定した。
二、研究実践の概要
(1) 道徳の指導計画
1) 全体計画、年間指導計画を作成し、各教育活動がどのような役割を分担するのかを明確にした。
2) 道徳の指導計画を学級経営に位置づけ、全体計画をより具体的に作成して活用しやすいものとした。
(2) 道徳の時間の改善と充実
1) 主人公の気持ちに沿って資料分析をしたことで、授業の構想を容易に立てることができるようになり、基本発問や中心発問も導きやすくなった。
2) 発問、資料提示、朗読、話し合い、役割演技、更に心の動きがわかるような板書の工夫は、児童の多様な価値観を引き出すために、大変効果的であった。
3) 主人公の気持ちに十分共感させることで、高められた価値に気づかせることができ、今までの自分を振り返らせるのに有効であった。また展開段階で書かせる活動を設定したことも効果的であった。
(3) 道徳的実践の指導
1) 米づくり
生産することの尊さ・勤労の大切さを体験させるために、田植え、草とり、かかしづくり、稲刈り、脱穀、収穫祭、わら細工といった一連の体験活動を行った。
2) ふれあい給食
協力し、助け合う心情を育てるために、一年生から六年生までの縦割り集団が一堂に会し、楽しい雰囲気の中で給食をとれるように工夫してきた。
3) 一分間スピーチ・自己を語る場
児童と児童、児童と教師の相互理解を深めるために設定した。クラスから全校集会へと活動を広げるにつれ、自信を持つ児童も増えてきた。また、教師の体験談を意図的に話す場を設定したことは、心理的に児童を教師に近づける一助となった。
4) 善行の木
「善行の木」コーナーを設け、児童の良い行いを積極的に賞賛することで、実践意欲も高まった。
(4) 家庭や地域社会との連携
1) 親の考えを取り入れた道徳の時間
道徳の時間に対する関心を高めるために、授業で使用する資料の感想を家庭の方に書いてもらい、道徳の時間に積極的に活用した。
2) 広報活動
各種だよりの中に道徳教育に関する内容を意図的に多く盛り込んだ。
3) 授業参観
「道徳の授業がどのように進められているか」「子供たちはどんな考えを持っているのか」等の理解を深められるようにするため、授業参観日には必ず道徳の授業を公開した。
4) 親子での活動
「親子奉仕作業」「花いっぱい運動」「収穫祭」「たこ作り」「飛行機作り」等を実施した。
5) わら細工と昔話を聞く会
祖父母への敬愛と昔の人の知恵を知るために、地域のお年寄りや有識者を講師に招き、実施している。
自己をみつめ、進んでやりぬこうとする児童の育成
三、今後の課題
(1) 全体計画、年間指導計画、学級における指導計画は、更に実践を積み重ね改善を加えていきたい。
(2) 道徳の指導過程を形式化せず、更に指導法の研究を深めていきたい。
(3) 家庭や地域社会との連携では、相互理解を深めるために今までの実践を反省し、改善するとともに、新しい手だてを模索していきたい。