教育福島0154号(1991年(H03)04月)-022page

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なになってどこに出ても恥ずかしくないような食事の習慣・マナーを身につけさせてあげたい、という大望を持って毎日仕事に励んでも、がんばればがんばるほど壁にぶつかり、 (どうしてこんな職業を選んでしまったんだろう。やめようかな。)と考えたこともありました。

でも、そんな時いつも励ましとなったのは、「先生、今日の○○うまかったよ。まただしてね。」「先生、野菜は体にいいんだよね。ピーマン嫌いだったけど今日少し食べたよ。」などと声をかけてくれる子供たちの笑顔でした。

そんなすてきな子供たちの中に特にがんばり屋の子供、K君とSさんがいました。母親は小学校にあがるまでほとんど野菜が食べられないふたりの給食に不安を持っていました。しかし、ふたりはがんばってみようという気持ちで、今日はせんキャベツを一本、次は二本と毎日少しずつ増やして食べられるようになりました。その勇気とがんばりに私もつい涙したこともあり、(子供たちだってがんばっているんだ、私だって。)とどんなに元気づけられたかわかりません。

幸いなことに私は二校とも小規模校勤務であり、子供たちと給食だけでなく学校生活の色々な面で接することができました。月末で献立作成が間にあわないとき、調理室の方が忙しいときなどわずらわしいなと思うこともありますが、そんなときこそ子供たちの本当の姿を見ることができ、給食指導に役立てることができます。また、調理員の協力により、給食の献立にも小規模校ならではの手作り食、郷土食を多く取り入れることができました。

そんな忙しい毎日の中で、最近うれしいことがありました。以前の父兄から「娘が、陽子先生と同じような食物栄養を学びたいといって、そっちの方の学校に進みましたよ。」と聞かされたことです。よく、教師みょうりに尽きるということを聞きますが、私の場合学校栄養士みょうりに尽きるということでしょうか。

さあ、また明日からがんばろう。「先生、うまかったよ。」の声が聞けるように。

(伊南村立伊南小学校栄養士)

 

Οsikirigawa hukin

 

Οsikirigawa hukin

三留昭男

 

Ground de

 

Kuki ga hukkurato atatakai.

Kokkyo no Yuki no Yamayama Wa kasunde iru.

Mori, Ie, Hiroi Ground.

Net no sobani Uniform ga ugoite iru.

Koegoe ga Kuki no nakani hibiku

Hitotu hitotu meiryoni kiki-wakerareru.

Haru da na ! Haru da na !

Hiroi, akarui, okina Sekai da na !

 

−−Osikirigawa hukin

 

これを、現代語になおすと、次のようになる。

 

グランドで

 

空気がふっくらとあたたかい。

国境の雪の山々は霞んでいる。

森、家、広いグラウンド。

ネットのそばにユニフォームが動いている。

声々が空気の中に響く。

ひとつひとつ明瞭に聞き分けられる。

春だな! 春だな!

広く、明るく、大きな世界だな!

 

−「押切川付近」より

 

十数年前、本校第二十二代校長田中貢氏(昭和十三年、本校旧中第十六回卒)に見せていただいたローマ字詩集「Osikirigawa hukin」の一編である。

 

 

 


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