教育福島0154号(1991年(H03)04月)-025page
実に的確なほめ方をされる方でした。なれない路上の教習で、理屈でわかっていても実際できるかと不安に思いながら運転していて、それがうまくできた時、私の心を見抜いたかのようにその行為を認めてくださるのです。ポイントをおさえた的確なほめ方の重要性を身をもって体験しました。また、雪の日の朝など、「エンジンかけてあっためといたよ。」とサラリと言われる言葉の中に、温かい生徒を思いやる心を感じ、これが生徒の意欲に通じるものだということも実感しました。
このようなN先生との出合いは、教師としての自分の生き方や在り方を改めて問い直す機会と同時に示唆も与えられた貴重な出来ごとでした。
娘にN先生の話をしました。N先生は今はかなりの立場で学科の教習だけをされているということでしたが、娘も「いい先生だね。」と感想を述べておりました。
(義務教育課指導主事)
雪でかいたトラック
本多淳一郎
三月初めの朝のことです。職員室から校庭を見ると、数名の子どもたちが白い息をはきながらトラックの周りを走っていました。
-がんばっているな。それにしても、日中は凍みがとけてぐちゃぐちゃになっていたはずなのに……。校庭のそばの家の屋根にはうっすらと雪が積もっているのに……。「だれがあの白いラインを引いたのだろう。」と、ぼんやり考えていましたが、思わず「あっ。」と声をあげてしまいました。
そのラインは、うっすら積もった雪が浮きあがって見えたのです。
春のいぶきが感じられるようになってくると、子どもたちは、凍みがとけて使えない状態になっている校庭でも外に出て遊んでいます。降った雪は、その足跡のへこみに入り込んで見えなくなり、毎朝走ってふみかためられたところだけが平らになっているため、雪で描いたトラックができていたのです。
走り終えた子どもたちに雪で描いたトラックについて話すと、驚いた顔をして校庭に飛び出して行きました。が、すぐにもどってきて
「先生、ほんとうに雪でトラックがかいてあったよ。ぼくらが走っていたからなんだね。」
と、息をはずませながら話してくれました。
四月より、始業前の時間に校庭を走り、体力づくりに励んでいた子どもたち。子どもたちを励ましながらいっしょに走っている先生方。春から秋にかけてのこのような情景が頭をよぎります。
「学ぶは まねぶなり」と申しますが、先生方に励まされながらその後ろ姿を追いかけていた子どもたちは、いつのまにか走る楽しさを覚え、雪が積もった日でも、その雪を苦にもせず走り続けていたのです。しかも、自らの足跡が雪で描かれたトラックを生み出し、まわりの人に感動を与えていたことに気づきもせずに……。
私たち教師は、その一挙手一投足が良きにつけ悪しきにつけ、子どものモデルになっています。子どもが生きている世界をかたちづくる環境の一つとして、また、多くの子どもにかかわる一人の教師として、子どもたちにまねをされても胸を張っていられるような生き方をしていきたい。そして、子どもたちから学ぶ姿勢を持ち続けていきたいと思っている今日この頃です。
(川俣町立川俣南小学校教諭)
勤労生産学習を通して
石綿仁
本校は昨年度、文部省から勤労生産学習の研究校として指定をうけ今年が本発表の年であり、教師陣はもちろん、生徒たちも一丸となって取り組んでいる最中である。
草花栽培、作物栽培、植木鉢作りなどを通して、学習、奉仕活動に自主的に、かつ意欲的に取り組むことを本校ではねらいとしている。
「先生、俺の家は農家だから、そん