教育福島0154号(1991年(H03)04月)-027page
工透析を受け、何とか健康を維持している状態です。
春になったら桜を見に行こうという願いが叶い、先日、南湖公園に一緒に出かけることができました。出会いの春、教師になってよかったと感じる嬉しい季節です。
(白河市立小田川小学校教諭)
化石のメッセージ
松本武雄
化石というものに出会ってから今日まで、かれこれ二十五年になるが、化石を仲立ちとしてさまざまな出来事を経験することができた。
高校の時に天文地質クラブに入り、約二億五千万午前の地層が分布する四倉町高倉山で化石の採集をした時に強烈な印象を受けた。この時以来、いわきを始めとして県内、そして県外にも足をのばすことになり、いろいろな化石を採集することができたほかに、多くの人々との出会いや、数々の化石展への参加の機会を得ることができた。
このようにして収集された化石は、やがて授業でも使うことができ、生徒達に少なからぬ感動と自然への興味を起こさせることができたのは幸いである。地層の学習ではきまって三十点ほどの化石を見せることにしているが、この時ばかりは生徒達の目が輝き、一挙に化石の価値が高まるのである。一昨年は地元の地層の歴史をテーマにして化石をみせたところ、授業中ばかりでなく、土曜日の放課後まで残ってスケッチする生徒も現れ、しかもその観察の細かさは大変優れたものであった。
このように生徒を夢中にさせてしまう化石の魅力とは何だろうか。化石は教千万年、数億年の昔から甦り、太古のロマンを我々に語りかけてくれるし、また、時には社会や人生の縮図のようにもみえるからであろう。
これまでの化石の採集や発掘の中でも特に印象に残っているのは、数年前になるが、本州一大きい巨大アンモナイトとクビナガリュウのなかまの「イワキ竜」の発見である。いずれも、いわき市大久町で発掘され、しかも発掘作業時、高校時代のクラブの友人が一緒であったことも嬉しさを倍加させた。
学校においての思い出は、クラブの時間に遠い露頭(崖)をめざし、徒歩で、ある時は車で化石採集に出かけたことであり、そこでの生徒達の生き生きとした動き、真剣なまなざしを忘れることはできない。さらに、授業の野外観察において、学校近くの露頭で必死に岩を割る生徒達の姿や、産出まれなウニの化石を見つけた時の生徒の喜びは、自分の学生時代の感動をよび起こさせる。
化石というと恐竜だけが目立つようであるが、どんな小さな化石でも、その価値が分かれば存在感の大きさに気づくであろうし、化石が好きになってしまうものである。
我々教師も、生徒一人一人の存在や価値を長い歩みの中でとらえていくことが大切であろう。近ごろの生徒の表情や態度を見ていると、それはあたかも地層の中の化石が発掘を待ちわびながら無言のメッセージを送っているかのように感じられるのである。
(いわき市立大野中学校教諭)
近頃感じたこと
太田勇一
「先生、僕のおばあちゃんが先生のおしめを交換していたというのは本当ですか。」「うん、本当だよ。先生が赤ちゃんのとき、おばあちゃんにお世話になっていたんだよ」
これは、昨年の四月に須賀川市立第一中学校に着任して間もなくの私とクラスの子との会話である。考えてみると、この一年間、私の周りには様々な出来事があった。その都度、教師としての責任の重大さを感じた。