教育福島0154号(1991年(H03)04月)-042page
教育事務所だより
県南教育事務所
〒961白河市字昭和町269
TEL(0248)22-2111(代)
管内では、早くから国際化、情報化への対応を目指した教育の充実に向けての取り組みがなされている。国際交流については、各市町村とも積極的な事業を展開しており、情報化をめざしたコンピュータの導入についても、管内小中学校には、現在二百九台、今年度購入予定を含めると、三百七台に及ぶ。当管内からは、「ふくしま新時代」に即応した事業、教育活動について紹介する。
心をつなぐ国際交流
−棚倉町立棚倉小学校−
−棚倉町立棚倉中学校−
昭和六十三年十二月三十日、棚倉小児童二名、棚倉中生徒三十一名は、第三次棚倉町振興計画による初めての海外派遣、豪州へのホームスティ訪問を終え、成田に帰着した。その彼らの瞳はみな輝き、笑顔には自信が満ちあふれていた。
=ティームティーチングによる英語の授業=
感受性に敏感な児童生徒にとって異国での人との交わり、文化や伝統との出会い、それらすべてが、新たな発見や感動の連続であった。わずか七日間の豪州滞在であったが、あらゆるものを自己の内に受容し、共感し、異質なものに寛容になった彼らは、違いをよく認識しようと努力した。同時に、主体的、積極的に自己の存在を全身全霊で異国人に訴え続けた。
まさに″案ずるより産むが易し″である。彼らは、新鮮な国際感覚を体じゅうに身につけ、大きく成長して戻ってきたのである。
以来、棚倉町は国際交流推進事業に力を注ぎ、民営団体と連携を密にし、国際性豊かな地域の基盤整備に努め、国際理解教育事業を大きく進展させている。
その目指すところは「異なった国、民族、文化を理解し、国際的相互依存関係や連帯意識が大切であることの理解を深め、外国人に対する偏見や優越感をなくし、人権を大切にし、相互に尊重し合う心を育てる」というところにある。
棚倉中は豪州のハイスクールとの姉妹校締結を機に、語学指導外国青年招致として現職教員の交換を行っている。昨年度は美術担当の女教師が一家で来町した。夫は町社会教育指導員、娘二人は棚倉小に入学し、小中、地域連携による一貫した国際理解教育が行われた。
中でも、担当の美術と英語の授業は、ティームティーチングにより、生徒のフレキシブルな側面を促し、実践的な英語の能力を高め、美術教育の充実を図ることができた。
棚倉小においても棚倉中と関連のある公立小学校と姉妹校を結び、両校の教員、保護者の相互訪問の交流を行ってきている。
=七夕まつり=
平成二年度末、棚倉小で学んだ二年生と四年生の娘は、みごとに日本語を身につけ、母親と共に母国に帰った。現在、二人の娘の父親は、町単独事業の現職招致教員として町に留まり、すぐれた個性と多様性を発揮し、語学指導と国際理解教育の充実発展に献身してくれている。