教育福島0155号(1991年(H03)06月)-008page
特集1
生徒指導の充実
積極的な生徒指導の推進 −小・中学校教育−
生き生きとした学校生活を目指して −高等学校教育−
積極的な生徒指導の推進
−小・中学校−
はじめに
福島県警の調べによれば、平成二年に県内で補導された非行少年は、三千六百三十四人で、前年に比べ、五百七十一人(13・6パーセント)と大幅に減少したが、依然として高い水準にある。(資料1参照)
本県における少年非行の特徴的な傾向は次のようである。
○刑法犯少年は前年に比べ五百四十九人(14・6パーセント)と大幅な減少を示している。
○刑法犯少年のうち、小・中・高校生の非行が全体の82・3パーセントを占め、中・高校生が依然として非行の中心をなしている。(資料2参照)
○万引きや乗物盗などの初発型非行が前年に比べ三百七十二人(14・2パーセント)減少したが刑法犯全体の70・4パーセントを占めており大きな社会問題となっている。(資料3参照)
○校内暴力は十件で、減少の傾向にあるが、内容的には、中学校を中心にして教師に対する暴力が多発している。
○シンナー等を乱用して補導された少年は、前年より百九人(18・0パーセント)減少したが依然として多発している。
このような少年非行に対して適切な対応をするためには、学校生活を正常化させ、すべての児童生徒に存在感を与え、自己を発揮させる教育活動を用意し、充実した学校生活を送らせることが大切である。
学校における生徒指導は、すべての児童生徒のそれぞれの人格のよりよい発達を目指すとともに学校のすべての活動が児童生徒一人一人にとって自己実現を援助し、自己存在感を与えることを目指して推進されるものでなければならない。
従って、このような生徒指導を学校生活のすべての場に十分作用させて積極的な生徒指導を推進することがそのまま児童生徒の非行防止に効果を上げることにつながると考える。
以下、積極的な生徒指導を推進する上で重視すべき点について述べる。
一、生徒指導体制の確立
生徒指導は、学校の教育目標を達成するための重要な機能の一つであり、学校教育活動のあらゆる場と機
〔資料1〕平成2年の少年非行〈県警本部防犯警ら部少年課調べ〉
年別
区分平2 平元 増減 率 非行少年 刑法犯少年 犯罪少年 2,491 2,849 ▲358 ▲12.6 触法少年 709 900 ▲191 ▲21.2 小計 3,200 3,749 ▲549 ▲14.6 特別法犯少年 犯罪少年 379 416 ▲37 ▲8.9 触法少年 7 6 1 16.7 小計 386 422 ▲36 ▲8.5 ぐ犯少年 48 34 14 41.2 計 3,634 4,205 ▲571 ▲13.6 ▲は減少を示す。
〔資料2〕刑法犯少年の学職別構成
〔資料3〕刑法犯少年の初発型非行
〈県警本部防犯警ら部少年課調べ〉