教育福島0155号(1991年(H03)06月)-009page

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会を通して十分生かされるように努めなければならないものである。そのためには、自校の生徒指導の課題を的確にとらえ、課題解決に向けて全教職員一丸となった取組みが必要である。

(一) 生徒指導について教職員の共通理解を一層深めること。

○教職員全員が生徒指導の意義や方法を共通認識し、学校として一貫した指導方針のもとに指導する。

○自校の生徒指導の課題を明確にし全教職員で共通理解するとともに、課題解決のための実践事項を具体的に設定し、共通実践ができる指導体制を確立する。

(二) 生徒指導に関する全体計画や指導計画を整備し、着実な実践に努める。

○児童生徒の発達段階や学年・学級の実態に基づいた指導計画を作成し常に児童生徒の変容をとらえながら指導にあたる。

(三) 生徒指導の機能的な組織づくりに努める。

○生徒指導が具体的、効果的に行われるように教育相談者、養護教諭等を組織に位置づけ、役割内容を明確にし、協力体制を整えて指導にあたる。

 

二 児童生徒の理解の深化

 

人間性豊かな児童生徒を育成するために教師は、一人一人の児童生徒の知識や技能の程度はもとより、物の見方・考え方、さらには、感じ方や行動の仕方など児童生徒一人一人の特徴や傾向を把握する児童生徒理解が不可欠である。一人一人の児童生徒のどこを生かし、どこを伸長させたらよいか、また、どこに問題があるのかを明確にして指導にあたることが大切である。

(一) 児童生徒理解の区分

○主観的理解

児童生徒との会話、行動、態度、あるいは、表情の観察等を通して行う理解の方法である。

○客観的理解

より科学的な資料を基に理解するのが客観的理解の方法であり、調査資料や観察、心理テストによる方法がある。

○共感的理解

教師が児童生徒の立場を尊重して話を聞き、訴えの真意を理解するものであり、教師は、許容的、受容的態度で接することが望まれる。

(二) 児童生徒理解の方法の工夫

児童生徒理解を適切に進めるためには、児童生徒の実情に即した様々な工夫が必要である。

〇日ごろから観察記録、面接記録など丹念に記録し、常に活用できるよう整理、保管のしかたを工夫する。

〇学級担任、教科担任をはじめ多くの教師により、多面的に理解する。

○指導上特に配慮を必要とする児童生徒については、事例研究会をもつことが有効である。

 

三 学業指導の充実強化

 

学業指導は、学校における全教育活動を通して、一人一人の児童生徒が意欲的に進んで学業に取り組み、自らの学業生活の改善と向上を図るように指導、援助することである。学業指導に当たっては、生徒が単に知識や技術を修得するだけでなく、自ら学ぼうとする積極的、意欲的な学習態度を養い、自己への信頼感、豊かな創造性などを育成しようとする積極的な指導、援助が極めて重要である。

(一) 学業不振の要因

学業不振の要因は様々でこれを特定することは難しいが、大きくは、「児童生徒の個人的要因」と「児童生徒を取り巻く環境的要因」とに分けて考えることができる。

個人的要因としては、1)学習に対する興味・関心の欠如、2)学習習慣の欠如・学習方法の不適切さ、3)身体的な障害及び情緒的な問題などがある。一方環境的要因には1)学校環境の問題、2)家庭環境の問題、3)地域社会環境の問題などがある。

学業不振は、このような多くの要因が互いに絡み合って生ずるものであり、学業指導を通して学力の補充、学び方の指導、学習習慣の確立とともに、児童生徒の性格、行動面の適応指導も含めて指導・援助に当たらなければならない。

(二) 意欲的な学習態度の形成

児童生徒が学習に興味を持ち、意欲的に学習活動ができるためには、何よりも心理的な安定が必要である。教師は、児童生徒の意欲を低下させているものについて十分理解し、受容的な態度でその児童生徒に接することが基本的な姿勢として望まれるが特に次の点に配慮して指導することが大切である。

○生徒指導の機能を積極的に生かした授業の展開に努め、成就感、存在感を味わわせるようにする。

○学習意欲を高める指導の場、機会、方法を工夫し、個に応じた学業指導を推進する。

○受容的、支持的な学級の雰囲気を育て、児童生徒が互いに認め合い、励まし合う授業の展開に努める。

次に掲げる事例は、生徒指導の研究指定を受け、昨年度発表した研究内容である。各学級の実践の参考に

 

 

 


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