教育福島0155号(1991年(H03)06月)-014page
き方を自分自身に問いかけ、生徒へ投げかけるという取り組みが繰り返され、学校生活のあらゆる場面が指導の場であることを改めて感じさせる数多くの取り組みが実践された。
教師集団が意識を変える努力を積み重ねつつ、生徒たちを指導の輪の中に包みこみ、生徒たちの変容を図ってきた取り組みは一向く評価される。
生徒指導の観点からの、人間としての在り方生き方に関する指導の在り方について
−−生徒一人ひとりが主体的な学校生活を送るための方策を探り、生徒の自己指導能力を高める指導の実践研究−−
福島県立喜多方工業高等学校
一、主題設定の理由
ここ数年本校に入学してくる生徒の実態を見ると、基礎学力の乏しい生徒や目的意識を持たないまま就学している生徒、学校に帰属意識を持たずに怠学や中途退学をする生徒、問題行動を繰り返す生徒が多く、今後とも増加が懸念されるところである。
このような状況の中で、本校においては、生徒自らの意志で意欲的かつ積極的な姿勢で生活するという自主的・自律的な精神を育成することを重要な課題として、生徒の内面充実を図るための多様な取り組みを展開してきた。
そこで、今回の研究推進の指定を契機として、これまで本校が取り組んできた教育実践を総合的に点検し、種々の研究活動を進めることによって、更に生徒の望ましい方向への変容を目指すため、本主題を設定した。
二、研究組織
研究主題が広汎な内容を有するところから、学校教育活動のあらゆる場において実践を進められるよう、六つの研究班を組織し全職員が研究実践に取り組んだ。
○研究推進委員会
・校務分掌と無関係に構成(八名)
・研究推進の素案作成
○研究委員会
・教頭、各研究班班長、研究推進委員で構成(十五名)
・研究推進委員会の素案をもとに全体会への原案作成
・研究推進の進捗状況の確認
○各研究班
・校務分掌を基盤にしながらも本人の希望を優先して構成
三、研究仮説
(一) 本校生の実態
研究仮説を設定する上での基礎資料を得るために、全校生に対する意識調査、全職員に対するアンケート調査及び各種データの分析を実施した。
その結果、本校生の意識及び行動等の特徴を次の五項目に集約できた。
(1) 基礎学力の不足
学力は中下位で、学習意欲に欠け、学習習慣の形成が不十分である。
(2) 基本的生活習慣の末確立
大半の生徒は、素朴である半面、節度ある行動やけじめある生活ができない。
(3) 目的意識の欠如
漠然とした将来の目標は持っているが、毎日の学校生活に対して目的意識が不明確で、なんとなく集団の中に埋没している生徒が多い。
(4) 耐性の欠如と強い依存性
物事に対して受け身であり、自らのやる気や真剣に取り組む姿勢に欠けていることから、主体的に判断し行動する力が乏しい。
(5) 学校生活に対する不適応
極端な反社会的行動や非社会的行動に走る生徒は少ないが、不適応に陥ったり、内面に問題を抱えている生徒が多い。
(二) 研究仮説
生徒の実態を踏まえ、本研究を推進する上での基本となる総括的仮説として、次の五項目を設定した。
(1) 教育課程の工夫や興味、関心を高める学習指導の実践などの学習に関する諸条件を改善することによって、意欲的な学習態度を育成することができ、学力の向上が図られるものと考えられる。
(2) 基本的な生活態度の育成の実