教育福島0155号(1991年(H03)06月)-019page

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1) 学校の教育目標を再確認し、教育課程の各領域に関する指導計画の中に、障害児の理解を深める指導内容を位置づける。

2) 障害児の理解に関する教育の目標を特に取り出し、学校における教育目標から、学年、学級における目標に至るまでの系統をおさえ、指導の場や機会を洗い出し、指導計画を作る。

○留意事項

1) 養護教育について全職員の共通理解

2) 児童生徒の発達段階の考慮

3) 児童生徒の自主的活動を推進

4) 地域の養護教育の実態把握につとめ、ふれあいを重視した計画

5) 盲・聾・養護学校の児童生徒との交流をとり入れた実践活動

6) 地域社会、保護者等の理解、協力のための努力

次に特別活動を通した具体的な指導内容の例をあげる。(表三)

 

(二) 地域社会の中で

地域社会に対しては、地域の指導者やボランティア団体との連携を図り、交流活動や体験活動を通して障害児を含めた様々な人々が共存する社会が豊かでうるおいに満ちたものであるという社会の基盤づくりが大切である。

○ねらい

1) 「障害」という不自由な部分だけに目を向け、健常者と区別して理解しようとするのではなく、人間として共通した個性的価値を認める。

2) 「障害」は、個人とその環境との関係において生ずるものであると考え、「社会的不利」を軽減する努力をすることに意義がある。

3) 障害児(者)を閉めだす社会は弱くもろい社会であり、社会を、障害者、老人などにとって参加し生活しやすいものにする。

地域の問題は、できるだけ地域のみんなで考え、講演会、映画会、施設訪問等地域住民の参加によって福祉活動の実践に結びつくようにすることが重要である。

各種学級・講座(家庭教育学級、青年学級、婦人学級、成人大学講座、高齢者教室等)、PTAや婦人会などの団体活動、障害者と共に活動することをねらいとした子ども会活動、スポーツ活動、ハイキング、キャンプ、運動会、水泳、サイクリングなどの野外スポーツ活動などがある。このほか、啓発の機会や情報の場として広報紙、ビデオ、映画、スライド、放送、作品の展示などがあり、障害者と障害をもたない人たちとのふれあいを基本にした活動を展開するのがのぞましいのである。

○活動する方法

1) 障害児も、地域の子どもたちと友だちになりたいという気持ちをもっている。同じ仲間として受け入れる。

2) 地域の障害児に出合ったら笑顔で接し、声かけをする。

3) 盲児・弱視者には、指示代名詞(この。あの・それ)をさけ、手を添える。肢体不自由児には、必要に応じ手を貸すなど、障害に応じた配慮が必要である。

4) 障害児を健常児の遊び方で遊ばせるのではなく、遊び方を工夫し障害児も共にできる遊びをする。(大きなボールにかえる。音のでる仕掛、ルールを簡単にする)

5) 子ども会の行事に同じ仲間として招待する。

 

以下養護教育理解啓発に関する各校での実践例を紹介する。

 

交流教育活動を通しての理解啓発−小学校−

福島県立平養護学校

 

一、平養護学校の概要

 

本校は、過去に三回他校との交流活動を経験してきている。今回、「平成元・二年度文部省指定心身障害児理解推進協力校」として、いわき市立平第四小学校(以下、平四小と略)と交流教育を行ってきた。平四小は、本校に最も近いところに位置し、本校が発足した母校でもある。昭和二十八年四月、平四小の特殊学級として発足した我が校は、現在、児童生徒数百五十八名の大規模校になっている。開設当初は、教職員間の交流もあったと聞いているが、今日、同じ地域において双方の学校が大きな存在になっているにもかかわらず、残念ながら両者における交流は決して十分といえるものではなかった。

 

二、理解啓発について

 

交流活動を進めるに当たり、以下のような基本方針を立てた。

1) 児童生徒の主体性・自発性を生かした交流活動にする。

2) 計画的で弾力的に取り扱えるよう、学校教育全体の中に位置づけ

 

表三 特別活動の具体的指導例

 

児童会・生徒会活動所属する集団の一員としての役割を自覚して、集団の運営に協力しながら参加する。JRC、クラブ活動等との連携によって校外活動を展開したり、盲・聾・養護学校の児童会、生徒会との交流
学級活動・ホームルーム活動級友のかかえる問題や障害をもつ友達の作文や詩などについて話し合う活動や障害児と共に活動し、障害児の理解を図る。VTR、放送番組、資料の活用
学校行事盲・聾・養護学校との変流を含め、障害児と共に学校行事へ参加。体育的行事、学芸的行事、遠足、旅行的行事、勤労生産的行事等
クラブ活動同好の者が共通の興味、関心を追求する活動を通して、社会福祉施設の訪問や盲・聾・養護学校とのクラブ交流

 

 

 


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