教育福島0156号(1991年(H03)07月)-010page

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3 自己教育力の育成

 

これからの学校教育は、児童生徒が主体的に生きていくことができる資質として、自ら考え、判断し、自信を持って表現したり行動できる豊かで創造的な能力の育成を目指している。このような教育を真に実現していくためには、自ら学ぶ意欲や能力、思考力、判断力、表現力などを育成することを基本とした新学習指導要領が目指す学力観に立って学習指導を創造的に展開していくことが必要である。

したがって学習指導は、児童一人一人がこれまで経験したり、学んだりしたことなどをもとにして、新しい課題に進んでかかわり、自ら考え判断し表現することを中心に展開される必要がある。また、それらの過程において、新たな知識や技能を自ら獲得するようにし、児童生徒一人一人の思考や判断、表現などの能力を伸ばしていくことが大切である。

このように、新学習指導要領は、児童生徒のその後の学習や生活に生きて働く力、すなわち、自己教育力(自己学習力)に役立つ力となる学力の育成を目指していると言えよう。

このような観点から各教科の指導に当たっては、次のような配慮が必要である。

(1) 学習活動への適切な動機付けを与え、学ぶことの意味や楽しさや成就感を感得させる。

●体験的な活動を重視するとともに児童生徒の興味や関心を生かし、自主的、自発的な学習を促す工夫

(2) 何をどのように学ぶかという主体的な学習の仕方を習得させる。

●学習の方法、手立てを明確にし、学び方を学ばせる指導の工夫

●問題解決的学習あるいは探究的、発展的学習を重視した指導の工夫

 

4 文化と伝統の尊重と国際理解の推進

 

国際化が一層進展する中にあって、次代を担う日本人を育成するためには、日本の文化と伝統を理解しようという態度を育成するとともに、諸外国の人々の生活や文化を理解し尊重することを重視していくことが肝要である。

このように、国際社会に生きぬくために必要な資質を養う観点から、日本の文化や伝統を愛し、関心や理解を深める指導とともに、日本人としての主体性を保持しつつ、世界的視野で考え、行動できる日本人の育成は、国際化に対応する教育の課題の一つである。

そのために、次の点について留意して指導することが必要である。

(1) 日本人としての自覚と誇りを持って、文化の発展に貢献できるような教育内容の充実を図ること

(2) 世界と日本とのかかわりに強い関心を持って、世界の中の日本人としての自覚と責任感を培うようにすること

(3) 歴史学習の改善、古典学習の充実、外国語によるコミュニケーションの力の育成、個性を生かす選択教科の拡充、国旗・国歌の指導の充実等に一層工夫すること

 

以上、教育新時代における学校教育の改善の観点を述べてきたが、新学習指導要領の全面実施が、小学校にあっては平成四年度から、中学校にあっては平成五年度からとせまってきた今、新学習指導要領の趣旨を正しく理解し、移行措置を適切に行い、スムーズな移行が行えるよう最大限の努力を傾けることが急務である。

以下に示す具体的内容や方法を各学校の実態に応じ、力点を定めて、二十一世紀に生きる「心豊かなたくましい人間」の育成を目指し努力することが必要である。

 

一 学校の教育目標の見直しと具現化

 

1 教育目標の見直し

 

近年の著しい社会の変化に対応して児童生徒の生活や意識は大きく変化してきている。従って、学校教育目標についても、その変化に対応して見直すことが急務である。

各学校では、臨時教育審議会、教育課程審議会の答申を土台にして、自校の実態に応じて、学校の教育目標を再検討することが必要である。

学校教育目標の見直しに当たっては、次の点に留意する。

ア 多角的な観点から教育課題を把握して、自校の目指す児童生徒像を明らかにすること。その際、臨教審の三つの目標、教課審が示した四つの改善のねらいを踏まえること

イ 関係法令、(新)学習指導要領、県・市町村教育委員会の重点施策を土台にすること

ウ 地域、学校、児童生徒の実態と保護者・地域社会の願い、教職員の期待を明らかにすること

エ 知・徳・体の価値が調和的に構成されるようにすること

オ 児童生徒にとって、身近でわか

 

 

 


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