教育福島0156号(1991年(H03)07月)-011page
りやすい表現にすること
前年度の教育目標を踏襲する場合であっても、次の過程を経るようにする。
ア 教育目標設定の背景と自校の教育課題を明確にして、臨教審の目標や教課審のねらいとの関連を明らかにすること
イ 教育目標の分析、内容の点検、整理、構造化を進めて、一層の具体化を図ること
2 教育目標の具現化
教育目標は、児童生徒一人一人が自らの問題として受けとめ、具体的に実行したとき初めて具現化が可能になるといえる。従って、教育目標の具現化とは、抽象的に表現されている教育目標を、具体的重点的なものにし、その達成のための方策や計画に基づいて児童生徒が行動化、態度化に至る過程であるととらえられる。
(1) 重点目標の設定
教育目標を達成するためには、重点目標の設定が望まれる。教育目標が長期的、総体的、調和的であるのに対して、重点目標は短期的、部分的、強調的である。設定に当たっては、教育目標を受けて、前年度の反省や児童生徒の実態に応じて教育目標の陥没点を強調する。単年度で到達可能な具体的、実践的な目標とし、児童生徒にとっても親しみやすい表現にするように配慮する。
(2) 学年目標への具体化
学年目標は、学年の発達段階や実態に即して重点目標を具体化した指標である。設定に当っては、次の点に留意する必要がある。
ア 教育目標の内容を分析し、児童生徒の発達段階に応じた具体的な目標とすること
イ 教育活動の中で指導の場と機会を明らかにすること
ウ 各学年に応じた目標達成の内容を明確にすること
エ 学期や月ごとに、重点的な実践事項を明らかにすること
オ 学年にかかわる教師の役割を明確にして、学期ごとに評価改善が行えるようにすること
(3) 学級目標への具体化
学級目標は、重点目標や学年目標を受けて、その学級の実態や担任の個性を反映して設定される学級自体の目標である。
設定に当たっては、話し合いの機会を設けるなどして児童生徒もかかわり合えるようにすることが大切である。特に小学校高学年や中学校においては、児童生徒の積極的な参加ができるよう工夫する。
(4) 各教科、道徳、特別活動の目標への具体化
自校の重点目標を具現化するために、三領域への位置付けと関連性の持たせ方は、各学校の目標達成のため極めて重要であり、具体化のためには次の点に留意する。
ア 年度の重点目標達成の観点から教育課程を編成すること
イ 具体化した目標を、各教科等の単元や題材の学習活動に位置付けること
ウ 教科で努力することを年度当初に児童生徒と話し合って、約束や評価表等を作成すること
エ 授業案や週案に目標とのかかわりを記入して、意図的に実践できるようにすること
3 具現化のための組織体制
教職員の役割を明確にし、各人のもつ力を十分発揮できるようにすることや共通理解を十分図って協力的に取り組む組織体制をつくることが基本的条件であり、次の点に配慮する必要がある。
ア 組織は、教育目標達成のため、学校の実態に即して編成すること
イ 職務の内容や実施時期、方法を明確にし、責任体制を整えること
ウ 適材適所の配置を心がけ、チームワークが良くなるよう協力体制づくりに努めること
エ 定期的に委員会や各係会等を開き、到達度や課題を明確にすること
オ 家庭や地域と共通理解に立ち、協力、実践できる体制をつくること
カ 児童会、生徒会の組織が、具現化に関連できるよう体制をつくること
4 教育目標具現化と評価
実践と評価は表裏一体のものである。常に、児童生徒の目標達成状況を評価し、それによって指導法を改善して目標に迫る相乗的効果を目指すため、次のことを大切にする。
ア 教師、児童生徒の評価や改善策を学校経営に生かすようにすること
イ 各部会等で目標の達成度を定期的に反省評価し、全教職員が成果と課題を確認し合うこと
ウ 月、週の努力点を教育目標との関連で具体的にし、その評価を生かすように指導援助すること
エ 学期末の総合評価では、評価の対象や観点、基準、方法等を的確に定めて行い、実践課題を明確にすること
オ 保護者との連携を密にし、保護者や地域の要望も可能なものは生かされるように開かれた学校運営にすること