教育福島0156号(1991年(H03)07月)-015page

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とができる内面的な力を育成する

ところにある。そのためには、児童生徒や学級、学校の実態を的確にとらえ発問や資料等を十分に吟味するなど指導法を工夫改善すること。特に、児童生徒の胸をうち、心にひびくような道徳的心情を重視すること

エ 教師は、重点目標等との関係がら、一人一人及び全体の児童生徒の道徳性の変容の傾向をよくとらえ、よりよく生きようとする児童生徒の努力を評価しその人間的成長を見守ること

 

3 道徳的実践の指導

 

学校の教育活動全体を通じて行われる道徳教育は、学校生活のすべての具体的場面に即して繰り返し指導することによりその結果が期待される。

日常生活の様々な場面で道徳的価値の選択を迫られたとき、その行為を選択し、行動決定する自己の内面的資質がより望ましい道徳的価値による場合は、それはより高い道徳的実践であるということができる。

児童生徒の日常生活の基本的な生活習慣をはじめとする日々の言動が望ましい道徳性を身に付けたものになることを目指して行うのが、道徳的実践の指導である。

道徳性に支えられた実践の指導(行為の動機付け)は、一般に次によることが多い。

ア 指示的、強制的指導--他律的動機付け

イ 模倣による指導--親や教師の後ろ姿で学ぶ

ウ 自発的・主体的学習を促す指導-自律的動機付け

児童生徒の発達段階や個人差に応じて他律から自律への指導に努めることが大切である。

 

4 家庭及び地域社会との連携指導

 

今日、地域の教育機能の衰退、家庭の教育力の欠如が大きく問題視されている。家庭は基本的な生活習慣を育成する中心的な場であり、道徳的実践・体験の場でもあるので、人間形成上重要な役割をもっている。

児童生徒や地域社会の実態を的確にとらえ、この役割を十分に果たせるよう家庭教育の活性化、地域社会の教育力の充実強化を図る努力が望まれる。

各学校において、学校や地域の実態に応じて次のようなことを創意工夫していく努力が更に望まれる。

ア 家庭との連携

道徳の授業公開、家庭・地域を含めた指導過程の工夫、学校(学年・学級)だより等の発刊、親子奉仕活動やレクリエーション等

イ 地域社会との連携

地域ぐるみのあいさつ運動、クリーン運動、ボランティア活動、地域懇談会・講演会等

 

五 特別活動の充実

 

特別活動は「人間性豊かな児童生徒の育成」を目指す立場から、各学校が最も創意工夫し、特色ある教育活動が展開されるよう計画・実践できるところに特徴がある。

従って、教師一人一人が特別活動の「なすことによって学ぶ」という特質と教育的意義を理解することが効果的な指導の鍵となる。

 

1 特別活動の課題と改善点

 

(1) 特別活動の課題

特別活動の課題として、児童生徒の生活経験の欠如があげられるが、その原因として次のことが指摘される。

ア 同学年を中心とした集団生活の場と機会はあるが、学年を越えた集団生活経験の場が少なくなってきていること

イ 家の中で過ごすことが多く、活動量が減少してきていること

ウ 学習塾やけいこ事に行く機会の増加等により、集団の中で自己の能力や適性を発揮し、主体的に学ぶ経験の場が少なくなってきていること

従って、各学校では、このような実態を踏まえるとともに、望ましい人間関係の育成、心身の健康と安全、人間としての生き方、奉仕の精神や国を愛する心の涵養等について特に指導の充実を図る必要がある。

(2) 特別活動の改善点

教育活動全体について、児童生徒の活動が生き生きと展開されるよう次の点に留意する必要がある。

1) 実態に即した「創意ある指導計画」に改善する。

ア 「なすことによって学ぶ」実践活動を基本として、児童生徒の活動意欲の高め方や、自ら問題点を見い出し、活動に取り組ませる方法を明らかにすること

イ 地域や学校・児童生徒の実態に即し、学校の教育目標の達成を目指した特色ある計画にすること

2) 実践的、体験的な活動に主体的に取り組ませるための指導改善に努める。

ア 人間的な触れ合いを深め、生き生きとした活動が展開されるような体験学習を積極的に導入すること

イ 集団生活の改善に努め、自己を

 

 

 


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