教育福島0156号(1991年(H03)07月)-017page
し、全職員で共通実践すること
イ 生徒指導の計画が着実に実践されているかを常に診断し、児童生徒の変容をとらえながら指導の充実に努めること
ウ 学校として一貫した指導方針のもとに、計画的に研修や情報交換ができるようにすること
2 望ましい人間関係の育成
児童生徒は、一日の学校生活の大部分を所属する学級の集団と共に行動する。
それゆえ、児童生徒の所属する学級は、児童生徒の学習と生活の基盤をなすものであり、そこにおける人間関係は、児童生徒の自己実現に大きく影響を与えるものである。
教師は、一人一人の児童生徒との間に親密な人間関係をつくることに留意するとともに、児童生徒相互の間に信頼と友情に満ちた温かい人間関係を実感できる時、学級生活に満足し、意欲を持って、安心して自己を開放し自己発揮に努め、自己実現を図っていくことができる。
そのためには、教師は、児童生徒理解を深めるとともに、教師自身も児童生徒に自己を語るなどを通してその理解を深めさせることが大切である。
また、自校の教育活動の中に、教師と児童生徒相互の人間関係を深める活動や感動体験を共有する活動を計画的に実施するなど、十分な相互理解を図りながら、児童生徒相互の人間関係の調整に配慮していくことが大切である。
3 生徒指導の機能を生かした授業の展開
児童生徒の自己指導能力を育てるためには、学校の教育活動のすべてにわたり、生徒指導の機能を働かせることが大切である。
中でも、教育活動の多くの部分を占め、教師と児童生徒とのふれ合いの場の最も多い各教科の授業の中に生徒指導の機能を積極的に作用させていくことが大切である。
生徒指導の機能を働かせる視点として次の三点がある。
ア 自己決定の場を与えること
イ 自己存在感を与えること
ウ 人間的なふれあいを基盤とすること
従って、児童生徒が、自分で考えて決めて実行するという自己決定、一人一人の児童生徒が独自な存在として認められることから生じる自己存在感、そして、互いに他の人の間違いを軽蔑することなく受容し合える人間的ふれ合いを教科、道徳、特別活動の中で意図的・計画的に作用させ、児童生徒の自己指導能力の育成を積極的に図っていくことが大切である。
4 個の悩みにこたえる教育相談
児童生徒は多かれ少なかれ、友人関係や学習等について悩みや不安を持って学校生活を送っていることが多い。また、ささいな悩みを深刻に受け止めて、自己発揮できずにいる場合も少なくない。
それゆえ、児童生徒の悩みや不安を除去し、児童生徒が十分に自己発揮できるように適切な教育相談を進めることが大切である。その際の教師の基本的態度として、次のことが望まれる。
ア 説得するという姿勢ではなく、児童生徒の言葉を引き出し、心をこめて聴くことに努めること
イ 児童生徒の立場に立って悩みや苦しみ、その子の心情上言葉の意味を理解しようと努めること
ウ 児童生徒の考え、行動を評価・批判しないで、まず、児童生徒の言葉に耳を傾け、受け入れて情緒の解放を図ること
エ 児童生徒の自己決定を促すこと
七 学年・学級経営の充実
1 教育目標の具現化と学年、学級経営
学年経営も、学級経営も、その目指すところは学校の教育目標の具現化である。それぞれの児童生徒の実態の上に立ちながら、その児童生徒の持っている能力・適性を最大限に伸長させ、人間性豊かな児童生徒の育成を図ることが究局の目標である。
そのためには、学校の教育目標を踏まえ、その内容を的確にとらえて学年・学級目標への具体化を図っていかなければならない。
2 一人一人の児童生徒が生かされる学年経営
(1) 学校の教育目標の達成に努める学年経営
教育目標の具現化を図るためには学年の特質を踏まえた具体的な目標の設定、全学年教師の共通理解のもとの教育実践内容の明確化が必要である。そして、学級担任が共同の責任を負い共通実践に努めることが大切である。