教育福島0156号(1991年(H03)07月)-018page
(2) 学校経営の中で、有効に働く学年経営
学年経営が、学校経営の中で有効に働くためには、学年の指導体制が機能的に組織されていなければならない。具体的な学年目標・方針を確立し、諸計画の立案、基本的行動様式の在り方等について、学年内教師が、協力し共に励むといった考えに立って指導、援助していくことが必要である。
(3) 一人一人の児童生徒理解に基づく学年経営
教師は、すべての教育活動を通して一人一人を深く理解し、学級の枠を越えた指導援助に当たることが大切である。そのためには、組織的・計画的に話し合いの機会を設定し、柔軟な指導ができる体制を整える必要がある。
(4) 教師の力量が生かされる学年経営
個々の教師を最大限に生かす分担を決め、経営の効率化を進める。それぞれが学年内の役割を十分認識し、協力して指導に当たることが大切である。
3 活力と充実感がみなぎる学級経営
(1) 一人一人を育てる学級経営
学級担任は、児童生徒一人一人の実態を的確に把握し、個人差に応じた指導により、望ましい人格の自己形成が図られるよう努めなければならない。
(2) 友情と信頼に満ちた学級づくり
学級担任は、学級の実態を表面的な面にとらわれず把握し、学級目標の具現化の過程で、望ましい集団の形成を図る必要がある。そのためには、学級担任と児童生徒が信頼と尊敬によって結ばれ、明るく高め合う学級集団を築きあげていかなければならない。
(3) わかる授業を創造する教師
授業は、最も直接的な教育の場である。児童生徒一人一人の個性や能力を十分に伸ばし、児童自身に自信とわかる喜びを感得させることが、相互の信頼関係を深めるうえでも不可欠である。
(4) 家庭との連携を深める学級経営
児童生徒一人一人の望ましい人間形成のためには、学級担任がその家庭環境を深く理解して指導に当たらなければならない。平素から、家庭との連絡を密にし、教師の指導方針や家庭の養育態度をそれぞれに理解し合い、相互の信頼と協力関係を確立するように努め、共通基盤に立って教育活動を進めていくことが大切である。
八 進路指導の充実
1 進路指導のねらいと性格
新学習指導要領に「生徒が自らの生き方を考え、主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、計画的、組織的な進路指導を行うこと」が示されている。これは、今回の改訂の基本方針の一つである「豊かな心をもち、たくましく生きる人間の育成」を図るためには、自ら生きる目標を求めてその実現に努める態度を育てることが必要であり、進路指導の果たす役割が大きいことを意味付けるものである。
このような能力、態度の育成のためには、一人一人の生徒が主体的に自己の特性についての理解を深め、将来の学校や職業等に関する情報を収集、活用し、進路に関する相談の機会を通じ、進路の選択決定ができるよう教師は指導援助することが必要である。
進路指導の基本的な性格を次のようにおさえ、効果のあがる手だてを講じることが大切である。
ア 生徒自らの生き方についての指導援助であること
イ 一人一人の生徒を大切にし、その可能性を伸長する教育活動であること
ウ 学級活動を中枢としつつ教育活動全体を通じて行うべきものであり、計画的、組織的に行われる教育活動であること
エ 選択教科等の選択や体験的な活動を通じて自らの個性を発見し、目的意識をもって主体的に自己実現を図っていく態度を育てる教育活動であること
オ 家庭、地域社会、関係機関等との連携、協力が特に必要とされる教育活動であること
2 進路指導の課題と改善
進路指導のねらいや必要性について理解を深め、全教師が一体となって生徒の実態や学校の問題点を的確に把握し、次のような課題に全校挙げて取り組むことが大切である。
ア 進路指導の組織を整え、全体計画を見直すこと
イ 進路指導についての校内研修や校外研修を積極的に行い、校内の進路指導体制を確立すること
ウ 学級活動における、進路の適切な選択と将来の生き方に関する学習についての指導を充実すること