教育福島0156号(1991年(H03)07月)-033page

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三、不登校の要因

不登校の要因は何か、文部省の分類基準からみてみましょう。

最も多いのが、登校の意志はあるが身体の不調を訴え登校できない。また、漠然とした不安を訴え登校しないなどの不安を中心とした情緒的な混乱が主となっている型です。次に多いのが、学校生活上のことが原因となっているもので、合わせると80パーセントを越えます。(図5)

不登校に陥った直接のきっかけは、友人関係をめぐる問題、親子関係をめぐる問題、教師との関係、学業の不振、入学・進級時の不適応など、学校生活での影響や家庭生活での影響によるものが多くみられます。(図6)

 

図5 不登校の態様〔文部省分類基準〕の割合

件数147件

 

図6 不登校に陥った直接のきっかけの割合

 

図6 不登校に陥った直接のきっかけの割合

件数147件

 

四、どの子にも起こりうる不登校

 

四、どの子にも起こりうる不登校

不登校の発生までにはかなりの潜在期間が存在しています。そのため、顕在化した時点では多くの要因が複雑に関係し合っていて指導援助に相当のエネルギーを必要とします。また、指導援助を進めても、問題の改善や解決が困難な場合もあります。

 

要因をつきとめ、早めに改善・解決できるように指導援助することが必要です。

 

電話相談

 

子供を不登校にまで至らせないためには、不登校につながる要因をつきとめ、早めに改善・解決できるように指導援助することが必要です。

不登校の背景には様々な要因が考えられますが、一般的には次のようにいわれています。

 

〇豊かな生活が子供の耐性や自主性を欠如させている。

○遊びや生活の変化により環境への適応力が育ちにくく、対人関係がうまくいかない。

 

これらのことから考えると、不登校は、特定の理由から一部の子供に起こりやすいものというより″どの子にも起こりうる″ものであるということがいえると思います。

教師は、どの子にも不登校が起こりうるという意識を持ち、受容的・共感的な態度で接することが大切です。そして、一人ひとりの子供に対して不登校を起こさせないための予防的な指導援助(参考・表1)をしていくことが必要です。さらには、一人ひとりの子供の発達過程をふまえ、その子供の可能性を引き出すように、日々指導援助していくことも忘れてはならないことだと思います。

 

〔ご案内〕

問題行動への指導援助などでお困りのときは、どうぞお気軽にご相談ください。

 

○申込み方法

電話等による予約制

○申込み先

県教育センター教育相談部

TEL 0245(53)3141

内線 25〜28

○受付及び相談曜日・時間

来所相談 月〜金・13:15〜14:45

15:00〜16:30

電話相談 月〜土・随時

 

表1 予防的な指導援助の要点

 

問題点の気づき ・ 日頃から子供とのふれあいの時間を多くする。
・ 子供の表情やしぐさなどわずかな変化に気づく。
・対人関係に目を向ける。
・親の養育態度など家庭の問題点に気づく。
・日常観察や必理検査を通して子供の性格傾向を把握する。
・既存の資料や情報から問題点に気づく。
指導援助の計画 ・問題行動の素因・誘因をとらえる
・問題行動の発生を抑制する要因をはたらかせるために指導仮説を立てる。
本人への指導援助 ・子供の気持ちにそった対応をする。
・子供を認め、褒め、励ます。
・子供の話にうなずき、傾聴する。
・自分自身に気づかせ、自己洞察を図る。
家族への指導援助 ・ 家庭訪問を実施し、親の協力を求める。
・ 親の話を傾聴し、心情を理解する。
・他の教師の協力を得る。
・必要に応じ、三者面談等を実施する。
学級への指導援助 ・思いやりの気持ちをもって接する。
・思いやりの行動を紹介する。
・本人が集団に受け入れられ、適応できる配慮をする。
・教育相談的な授業を展開する。
指導体制 ・教師間で情報を提供し合う。
・ 学年会を開くなどして共通理解を持つ。
・ 教育相談係などに助言を求める。
・役割を分担して指導助言に当たる。

 

 

 


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