教育福島0156号(1991年(H03)07月)-049page
博物館ノート
華やかな縄文土器磐梯町・猪苗代町法正尻遺跡出土土器
縄文土器の歴史は、今から一万二〇〇〇年ほど前から弥生時代の始まる二三〇〇年ほど前まで、およそ一万年近く続いたと考えられています。
特に、縄文時代中期の中ごろ(約四五〇〇年前)には、縄文土器を代表する厚手で豪壮に飾られた土器が、東日本を中心とする地域で好んで作られました。
磐梯町と猪苗代町の境にある法正尻遺跡では、磐越自動車道建設のため、県教育委員会の手で記録保存の発掘調査が行われ、多数の住居跡とともに縄文時代中期中ごろの土器がたくさん見つかりました。
縄文の上に粘土紐の貼り付けによる複雑で立体的な文様をつけた、東北的な特徴を持つ土器(写真1・2)や、新潟県を中心に分布する有名な火炎形土器に似たもの(写真3)、関東地方との関連をうかがわせるもの(写真4)などが出土しています。
造形的にも非常に優れたこれらの土器は、四〇〇〇年以上も前に会津に生きた縄文人が、文化的にも他地域との幅広い交流を持っていたことを物語る貴重な資料です。
法正尻遺跡出土の土器は、博物館で開催される夏の企画展「縄文絵巻(会期七月二十日〜九月二十三日)」に、福島を代表する華やかな縄文土器として展示されています。
鉢 1
深鉢 2
深鉢 3
深鉢 4