教育福島0157号(1991年(H03)09月)-030page
を知らせる便りが届く。卒業までの三年間、毎日向き合い、様々な出来事を共にした生徒達が、大学生として、あるいは社会人として新しい環境の中で頑張っている姿を文面から感じる度に、教師としての喜びを実感している。
私が教職に就いたのは今から三年前、娘が二歳の時だった。結婚後は家庭に入り主婦業に専念していたものの、自分の仕事を持って働きたいという思いは消えず、むしろ募っていった。出産を機に仕事を辞め、現在は子育てに専念している私の友人達も、子供の手が離れたらいずれは仕事に就きたいと考えている。しかし幼い子供を持つ母親にとって、安心して子供を預けて働ける環境が整わないことには、仕事を始める踏ん切りがつかない。一方、就職するにも年齢的な制約は、だんだん厳しくなっていく。三十歳を間近にして、私の中には焦りとジレンマがあった。その迷いに一区切りをつけ、自分の在り方を決めるつもりで採用試験に臨んだことを思い出す。
仕事が始まってからは、それまでの生活が一変した。夫の転勤で、娘は実家に預けることができたが、通勤に一時間半ほど要し、時間に追われる毎日となった。しかし忙しさの中で味わう充実感は、得難い感覚だったと思う。一頃、ディンクスと呼ばれる子供を持たない共働き夫婦のライフスタイルが話題になったが、最近では夫婦が共同で家事や育児をこなしながら、お互いに仕事の世界を持つスタイルが増えているらしい。職場で生き生きと仕事をこなしている女性の先生方から、子育て中のアクシデントに悩んだり家庭と仕事との間で苦労された話を聞くにつけ、大いに力づけられた。困難な時期を乗り越えてこそ、仕事への自信が生まれてくるように思われる。
私が仕事を始めたばかりの頃は、毎朝泣いていた娘も、今では「おしごとがんばってね。」と覚えたてのたどたどしい文字で紙切れに書いて手渡すまでになった。満足に構ってやれない母親だが、家庭を土台にしながら多くの人々との関わりの中で、たくましく育ってほしいと願う。そして、私自身が日々関わっている生徒達には、わずかでも成長のきっかけを作ってやれたらと思う。四年目を迎え、新しい生徒達との出会いがあった。学校生活の中で垣間見る生徒達の成長ぶりは、子育てとは違った楽しみをもたらしてくれるはずだ。
(県立勿来工業高等学校教諭)
生涯学習シンポジウム
市町村の生涯学習の振興を図り、「生涯学習をすすめるまちづくり」を促進するため、今年度も「生涯学習シンポジウム」を、十月から十一月にかけて、県内五会場で実施します。
生涯学習のまちづくりを進めるためには、住民一人一人が必要に応じ自主的に学び、その成果を地域づくりに生かせる環境を作っていくことが大切になってきています。
そのためには、学習要求や地域課題を解決していく知恵を住民自身が身につけながら、生涯にわたって学習を進めることができるような基盤の整備が前提となっています。
しかもこれは、教育委員会だけではなく、企画や福祉、地域振興、産業、労働、観光をはじめ全部局のそれぞれの機能が総合的に整備され、生涯学習の推進にむけて連携を図っていかなければなりません。
教育委員会が対応できる学習領域には限界があるため、例えば職業能力に関する学習をはじめ農業技術や保健衛生、社会福祉などの領域や実践的な地域活動に、部局をあげて取り組んでいく必要があります。
また、公園や自然探訪の場、高齢者施設、地区集会場をはじめ住民の生涯学習に不可欠なものがそれぞれの部局に所管されているのが現状です。住民組織に関しては、自治会(町会)、老人クラブ、消防団、交通安全組織、保健衛生、商工・農業についての組織づくりや組織活動が、各部局が中心となって行われています。このような現状から、生涯学習のまちづくりを進めていくには、自治体の全部局が連携し、それぞれの持っている教育機能を補完しあうことが一層必要となっています。
本年度の生涯学習シンポジウムの期日・場所を示します。詳細については、各方部の教育事務所にお問い合わせください。
平成3年度生涯学習シンポジウム
実施期日及場所
方部 期日 場所 県北 10月9日(水) 二本松市 県中 11月28日(木) 都路村 県南 10月30日(水) 塙町 会津 10月18日(金) 塩川町 相双 11月19日(火) 富岡町