教育福島0158号(1991年(H03)10月)-044page

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教育センターから

 

基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究

−第4年次・実践研究−

学習指導部

 

一、研究の趣旨

本研究は、学習指導の改善の視点から、基礎的・基本的な内容を身につけさせる過程を通して、更にそれを基盤としながら一人一人の個性を生かし、伸ばす学習指導の在り方を実践的に追究しようとするものである。

二、第三年次までの研究

本研究は、昭和六十三年度から五年計画で実施しているが、第一年次は、研究主題に関する文献研究と実態調査を実施し、第二年次以降は、実践のための理論研究を行うとともに、研究仮説を設定し、毎年教科を変えて実践研究を実施してきた。

三、第四年次の研究(平成二年度)

前年度までと同様に、教科における実践を通して研究を進めた。一方、より一層の研究の充実のために、教科領域のみならず道徳及び特別活動まで研究領域を広げることとした。本研究は学習指導等の改善に資することを目指していることから、意図的、計画的に実践研究が進められ、検証、分析が可能な「道徳の時間」に実践を限定して進めた。

教科については、既に本誌(平成元年七・八月号)で述べているので、ここでは主に道徳について述べてみたい。

(1) 「基礎・基本」と「個性」について

基礎・基本を各教科同様「学習指導要領における道徳の目標・内容」ととらえたが、特に道徳教育の要となる道徳の時間では、各学年の「道徳の内容」を基礎的・基本的内容とととらえ、「自分を見つめる」学習を通して内面に根ざした道徳性の育成を図ろうとした。

個性は、児童生徒一人一人が持っている「その子らしさ」としてとちえた。この「その子らしさ」は、学校生活の中でその子らしい言動、その子らしい見方や考え方、その子らしい活動の仕方などの具体的な形となって表れてくる。そこで、道徳の時間では、価値に対するその子らしいものの見方や考え方が表出できそうな場や機会を設定し、他の多面的で多様な考え方と比較検討することを通して、「その子らしさ」を自覚させることとした。(2) 研究仮説と実践研究の方策

研究主題に沿った「研究仮説」を設定し、仮説を実践的に検証していくために、「実践への方策」と「実践への具体化の方向」を図1のようにとらえて実践した。

(3) 教科書と道徳における研究

「研究仮説」を受けて、それぞれの仮説を設定し、それに基づく具体的な手だてを指導過程の各段階に位置づけて実践研究に取り組んだ。

1) 小学校道徳(藤田小 五年生)

実践にあたっては、「その子らしさ(自分らしさ」を自覚させ生かし育てていこうとする際の中核となる価値項目について、四主題六時間の授業を行った。授業の流れ、指導の要点と手だては図2のとおりである。

基礎的・基本的な内容に支えられた道徳的実践力が育成されたかどうかについては、児

 

 

 


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