教育福島0158号(1991年(H03)10月)-049page
博物館ノート
−二本松提燈祭太鼓台−
十月四日から六日までの三日間行われる二本松神社の祭礼は、二本松の提燈祭としてよく知られている。この祭の主役となっているのが、三百個あまりもの提燈をつけて町内を練り歩く太鼓台である。
博物館では、大空間のなかで人びとに寄りつどう場を提供するためのシンボル展示として、開放性と参加性の象徴ともいうべき祭のさまざまな資料の中から、「二本松提燈祭太鼓台」を選び、ほぼ現状どおりに製作して展示している。
展示されている太鼓台は、二本松の提燈祭りに参加する七台の太鼓台のうら、竹田町のものをほぼ現状どおりに再現する形でつくられている。柱や欄間には、竜や鳳輿の彫刻がほどこされ、金箔をおして仕上げがされている。この太鼓台を包んでいるのが、紫地に金銀の刺繍で虎の絵が描かれた幕である。この太鼓台の屋根の上には、三百個あまりもの提燈がとりつけられ、さらに屋上にも「すぎなり」と呼ばれる竹がたてられ、先端は数本に割られそれぞれに提燈がつけられてしなっている。その高さはゆうに十メートルをこえている。展示してある太鼓台は、大太鼓や小太鼓等を安定してのせるために取りはずしのきく床板が張ってある点や、車の構造の一部に、実際に使われているものとの相違がある。館では残念ながら照明の関係で暗闇の中にうかぶ提燈の美しさを数度しかお見せしていない。
二本松提燈祭太鼓台全景
太鼓台幕