教育福島0159号(1991年(H03)11月)-027page
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保健委員会の指導を通して
羽染たけよ
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−今年の保健委員会の活動はすごく良かったと思う。
みんなのためになるものが多くあって、みんなが見てくれたのが嬉しかった。私自身も、着色剤とかそういうものが入った食品が、体に悪いということを改めて知った。
紙芝居の発表はすごく緊張したけど、どうにかできた。保育所を訪問したり、いろいろな活動をしていることを、みんなにわかってもらえたと思う。
来年も、もっともっといいものをやりたい。−
これは昨年の文化祭で、保健委員会が発表・展示をした時の生徒の感想である。
保健への興味・関心を持たせ、委員会活動を活発にさせる。そのためにここ数年、科学的な実験活動や実態調査などを試み、結果を発表させるようにしている。
「たばこは体に悪い」と知識で理解していても、実感はしていない。実際に調べて初めて本当の怖さを実感する。『百間は一見に如かず』である。自分の目で見、体験させた上で納得させる。このような活動は、生徒の活動意欲を高め、連帯感を強くするものと思っている。
私自身も学び気づくことが多く、また、生徒の新たな一面を発見したり、悩みを聞いたりと、触れ合いを深める場にもなっている。
いろいろな生徒がいて、いろいろな活動を希望する。すべての希望を満たすことは難しいが、一人でも多くの生徒に満足感を与えたい。それが全校生の健康への関心を高めることにつながればと願っている。
今、保健委員会では″地球にやさしく″のテーマのもと、廃油からの『オレンジ石けん』作りに励んでいる。文化祭で全校生に配付することを楽しみに、真剣に取りくんでいる生徒たちの表情はとても明るい。
(南郷村立南郷中学校養護教諭)
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▲展示−たばこは体に悪い
古典指導を通して
佐々木義史
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唐衣きつつなれにしつましあれば
はるばるきぬる旅をしぞ思ふ
伊勢物語「東下り」の一節に出てくる和歌である。(都に残してきた妻がいるので遥々やって来た旅が、物悲しく思われることだ。)と、詠んでいる。また、「つま」は、着物の「褄(つま)」と「妻」を、「はる」は、「衣を張る」の意と「遥(はる)々遠い」の意と掛けた修辞技法である。
「褄」と「張る」という言葉を、どう教えるのか、私は本当に困った。着物を着たのは、子供のころ七五三の祝いと、叔母たちの結婚式の時、そしてお盆に、父とお揃いの浴衣を着た覚えがある位である。だから「褄」とは、(着物の襟下から裾までのヘリ全部をいう)と言葉の上では分かっていても、生活の中での経験とは縁遠いものである。
「よく晴れた日に、庭に張り板を出して、母が洗い張りをしていたなあ。乾いた布を張り板から剥がす時が難しいのだよ。おもいっきり引っ張ると、布が破けてしまうからなあ。」先輩の先生が、少年時代の体験を語ってくれたが、私には想像がつかない。実物が見られるといいのだが、と思いながら、祖母のことを思い出した。
「蔵の中にあるはずだよ。」
祖母は、さっそく探してきてくれた。それから手ぬぐいで、実際に張り方をやってくれたのである。幅三十五センチ、長さ約二メートルの張り板の上で、糊づけされた木綿の手ぬぐいが、秋の陽に乾いていく光景、にやっと「張る」の言葉の意味が実像となったのである。
しかし、私自身がやっと実感できたことが、生徒たちに伝わっただろ
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