教育福島0160号(1992年(H04)01月)-017page
して、学級の一人ひとりが「友人のよさ」を体得したことを生徒作文を通して語りかける。
五、結果の考察、評価
(一) 大部分の家庭で学級通信が届けられ、読まれていることが実態調査からわかった。
学級通信の有効性について調べてみると(資料6)、予想した以上に望ましい姿で「学級通信」が生徒たちはもちろん保護者にも読まれていることがわかった。特に「読んだ後、家庭で学級のことが話題になり、会話が続く」という家庭が半数近くあり、家庭でのコミュニケーションのきっかけとなっていることを示している。
(二) 生徒の学級通信に対する感想を読むと、第一に「今までよく考えないで先生に言われたことを無意識に、何の喜びもなく行動していたが、自分たちで考え、少しずつ動けるようになった」という点があげられた。進路班による「進路通信Never give up」は、その一例である。
第二に、「仲間のいろいろな面を知ることができ、自分もやろうとする気持ちがわいた」ことがあげられた。
第三に、「自分の目標ができ」「励み」にすることができたということである。
生徒の感想を集約すると、ほぼ全員が「学級通信」の継続を支持しており、生徒の期待を裏切らないように、一層努力しなければならないことを痛感した。
六、実践の反省と今後の課題
(一) 実践の反省
学級通信活動を継続して良かったと思うことは、次の三つにまとめられる。
(1)学級通信を継続するための前提となるのは「良い学級づくり」である。言い換えれば、良い学級づくりができれば、学級通信の発行が喜びとなる。喜びを伴う学級通信の発行は、「生き生きと活動する学級経営」に大きくつながっていったと思われる。
(2) 生徒理解が深められたことがあげられる。学級通信を発行しようとすると、さまざまな調査や指導の記録を収集し、整理する必要がある。この調査-収集-整理によって、生徒一人ひとりの特性や個性に対する理解が深まった。
しかも、それが「学級通信」として、記録されていくことは、生徒理解を一層深めるうえで役に立った。また、生徒理解なくして「学級通信」は成り立っていかないとさえ言える。
(3) この実践のねらいの一つである家庭との連携が深まったことがあげられる。「学級通信アンケート」からもわかるように、保護者の期待の大きなことがわかり、更に継続を支持してくれた。
(二) 今後の課題
(1) 記事の内容を新鮮で充実したものにするためには、じっと生徒の言動に耳を傾け、目を凝らし、その中から多面的な目で題材を収集する必要がある。また、保護者や教科担任との連携をどのように深めていけばよいかを追求していかなければならない。
(2) 学級通信を充実させることは、学級づくりを充実させることにつながることが実践の結果から確実なものになった。更に、学級通信の創意工夫により、活発な学級づくりに努力することが、今後の課題となる。
(3) 学級通信を学級活動・道徳の時間で活用することを度々試みてきたが、題材の取りあげ方を計画的に工夫する必要がある。生きた資料とするためにも、今後活用のしかたを工夫していきたい。
資料6 学級通信はどんな点で役に立っていますか。
(保護者、複数回答)
項目 人数 % 学校や子供の活動の様子がよくわかる 31 69 学校(先生)の考えや方針がわかる 27 60 子供との会話の材料になる 24 53 学校行事の日程、取り組みと結果がわかる 21 47 生徒作文など考えさせられることがある 19 42 生活上の問題と解決の経過がわかる 11 24 「学級賞」で感心させられることがある 9 20