教育福島0160号(1992年(H04)01月)-019page

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動内容に留まることがあり直接経験のレベルに個人差が生じている。

(4) 教師は指導の効率化を重視するあまり、グループ編成上、ともすると具体的操作の得意な児童と不得意な児童を組み合わせるため、結果的に理科における重要な観察実験の技能・表現に関して、個々に目を向けた基礎・基本への迫り方をおろそかにしがちである。

二、仮  説

(一) 研究仮説

解決の意欲が高まらず、他の考えや方法に頼りがちな児童に、次の三点に着目した手立てを取れば、一人一人が自己のめあてを持ち主体的に問題解決にあたる力がつくであろう。

○ 単元の導入に、自由試行活動を通した学習課題作りの場を設定する。

〇 一人一人の児童が立てた多様な課題や方法に対応できるように、学習過程の複線化を図る。

〇 一人一人の児童に直接経験が保障されるように、観察・実験の個別化を図る。

(二) 仮説設定のための理論的背景

理科の学習は、探究学習であるべきである。さらに、探究学習は、学習者の主体性・創造性を育てようとする学習の姿である。しかし、実際には、探究学習の実現は、一斉指導の中では十分に果たしにくい。そこで、学習の個別化・個性化の視点から自由試行、学習過程の複線化、観察・実験の個別化という手立てを講ずれば、具体的には、次の内容の実現を図ることが可能である。

(1) 単元の導入として自由試行活動の場を設定する。その結果、児童がとらえた気付きや疑問を大切にして学習課題を作る。この過程での話し合いでは一人一人の考えの違いや対立意見を尊重し、解決のための意欲を高めるように心がけることにより、解決意欲に支えられた課題を、どの児童にも明確に把握させることができる。

(2) 児童の活動や思考をできるかぎり予測し、その多様な考えに対応できるように学習過程の複線化を図る。この考えに基づいた単元構成によって、児童は自ら考えた方法や素材を工夫し選択させながら観察・実験にあたらせることができる。また、教師も個に応じた指導がいっそう確実になり、問題解決力の育成が図られる。

(3) 観察・実験及びその学習計画の立案は、可能な限り個人単位で活動できるように進める。その結果一人一人の児童が自らの考えを自らの方法で進めていく満足感を感じながら十分に活動させることができ、観察・実験の技能・表現、自然事象についての知識・理解の定着を図ることができる。

 

多様な実験が自分達の計画ですすめられていく

 

多様な実験が自分達の計画ですすめられていく

 

三、研究計画

(資料一、資料二、その他省略)

四、研究の実践

(一) 検証授業実践経過

(1) 第一回公開授業実践 平成元年

1) 単元名「植物のつくりと水や養分のゆくえ」

2)  授業テーマ

同じ課題のグループごとに実験方法や素材を工夫させ、植物の体のつくりと水を運ぶしくみを調べさせる指導。

3) 検証の重点

この実践では、児童に実験計画を立てさせることにより、自分達で方法や素材を工夫し選択して観察・実験を進めていく学習の展開を目指す。特に、複線化を図った学習計画をあらかじめ準備しておき、児童の多様な考え・計画に対応していくことが可能かどうかを確かめることに主眼を置く。

(2) 第二回公開授業実践 平成二年

1) 単元名「水溶液の性質」

2) 授業テーマ

各自の学習計画にしたがって直接観察・実験に取り組ませ、水溶液の性質を調べさせる指導。

3) 検証の重点

この段階では、三つの手だての中でも特に観察・実験の個別化のあり方に重点を置いて進める。一

 

 

 


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