教育福島0160号(1992年(H04)01月)-023page
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随想
日々の思い
思い出を作る
渡辺正一
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来年三月で、教職十年目を終えようとしている。この間いろいろあったが、高学年を担任させていただくことが多かったので、今までに四回、百名以上の卒業生を送りだしている。
初めての卒業生は、来年成人式を迎える十九歳である。初めての卒業生ということで、それなりに思い出も多く記憶に残っているが、卒業式を前にして、八年後、二十歳になったらクラス会を開こうという相談がまとまり、それがいよいよ来年になった。
当時、卒業生を送りだすということは、私にとってたいへん重大なことであり、何をしてあげたらよいのかわからず模索していた時、助言して下さったのが、学年主任の先生であった。その先生は、「子どもたちに思い出を作ってあげなさい。」とおっしゃり、作品やカード、スナップ写真などを一冊のファイルに綴じ込んで、何年か後に渡してあげるというご自分で実践されていることをていねいに教えて下さった。早速、それをまねて、ファイルを買いこんだ。中に綴じ込む物は、自由でありさまざまである。表紙には各自自由に書かせることとし、読書やスポーツテストのカード、習字や図画の作品、夏休みの計画表、残っていたスナップ写真など、次々に子どもたちの思い出が一冊のファイルの中につづられてゆく。このファイルは、お別れ会のビデオテープや学級日誌などと一緒にし、二十歳のクラス会まで私が段ボール箱に入れて預かっておくことになった。いよいよ来年、その段ボール箱を開ける時がやってくるのである。どの程度の人数が集まってくれるのかはわからないが、各々がファイルを開き、どんな顔をするだろうかと想像するだけで、今から胸がふくらんでくる。
また、昨年度四度目の卒業生を送りだす際には、ファイルはもちろんのこと、二十歳の自分に卒業間近の自分からの手紙を書かせ、私もその時の気持ちを手紙にして同封しておき、成人式に郵送することにしている。二十歳になった卒業生が小学校での学校生活を少しでも思い出してくれることを願っている。
現在も高学年を担任させていただいているが、ファイル作りも計画的に進めることができるようになった。普段子どもたちが捨ててしまいがちなプリントやカードこそが、後になって良い思い出になるものと信じ、思い出づくりに励んでいる今日この頃である。
(白沢村立和田小学校教諭)
初任者として学んだこと
山口久美
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四月、私は新採用教員として中学校教育に大きな夢を抱き、本校に着任した。初対面の子供たちの元気一杯の挨拶や笑顔には、かわいらしさがあふれていて安堵した。ある先生から「ここの生徒はどうですか。」と聞かれたときも、「みんなかわいいです。」とすぐに答えていた。
しかし、一週間、二週間と過ぎていくうち、教科指導、生徒指導、あらゆることに迷い悩み始めた。例えば清掃指導一つにしても、生徒はなかなか私の言うことを聞かずに逃げ回っている。私はそんな生徒にいらだちさえ感じていた。そしてそんな自分自身が情けなく思われた。
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