教育福島0160号(1992年(H04)01月)-031page

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2) 空間認識力

空間を感覚的にとらえる能力。

3)イメージ力

さまざまなイメージを思い描く能力。

4) 絵画的認識力

風景やできごとを一枚の絵としてとらえる能力。

5) 図形的認識力

抽象的な言葉やことがらをひとつの図形としてつかむ能力

(三) 基礎的表現能力を育てる指導とは

造形活動において手の機能の回復と五感の再訓練をすることは、右脳に刺激を与え、子供たちに基礎的な表現能力を身につけさせる活動ととらえることができる。その指導をする時、基礎的要素を一つ一つ取り出して指導するのではなく、子供の造形活動の発達の特性を十分考慮し子供がその時点で本来持っているものの全てを生かして、思いを広めたり深めたり、試したりすることのできる活動を推し進める指導をしたい。この時、基礎的な表現能力は教え込むのではなく、右脳型思考を刺激し子供から引き出して育てるものと大きくとらえておきたい。

 

三、研究目標

 

本研究は、以上のような考え方をもとにB・エドワーズの開発した右脳を訓練する描画指導法を中心に成人にではなく小学生にも適用できるかどうか調べようとするものである。このうち本年度の研究ではイメージカを高めるために、右脳を訓練する描画法を小学生用に作り直して実践し、図形的認識力を訓練するためにオリジナルな課題を開発する。また、絵画的認識力を高めるために授業以前の取り組み(五感を使った体験活動)を大切にした絵画の授業を実践する。さらに、これらの実践と並行して手の機能の回復と五感の再訓練をさせる生活の中の手だても大切にしていきたい。それは、学校行事や特別活動、遊びなどの面でできるだけ生の直接体験をたくさんさせる総合的な活動を実践することである。

 

四、基本仮説

 

右脳を刺激する絵を思いのままに描き、事前の取り組みを重視した図画工作科の授業をすることにより、イメージカや図形的認識力、絵画的認識力などの基礎的な表現能力が養われるであろう。

 

五、作業仮説

 

(一) 右脳を刺激する描画訓練を継続すれば、ものを見る目が鋭くなりイメージカや図形的認識力が高まるであろう。

(二) 事前の取り組みを大切にした図画工作科の授業をすることにより主体的に物事に取り組む態度が育ち、絵画的認識力が高まるであろう。

(三) 手の機能の回復と五感の再訓練ができる環境を設定すれば、人間らしい感覚を育て、心身の調和の取れた発達をさせることができるであろう。

 

六、研究計画

 

(一) 研究対象

江川小学校大内分校一年〜六年

二十六名

(二) 一年次検証計画

(1) 図画工作科学習アンケート

(2) 表現能力発達診断テスト

(3) 創造力・発想力実態調査「おもしろカード」(図形的認識力)

(4) 右脳を訓練する描画練習課題

1) 実習前の絵(実態調査)

2) 紙に親しむ(イメージカ)

3) 花びんの顔(イメージカ)

4) さかさまの絵(イメージカ)

5) ○○(□□)の絵(図形的認識力)

6) 音楽の絵(図形的認識力)

7) 味のある絵(図形的認識力)

(5)  事前の取り組み(五感を使った体験活動)を重視した図画工作科の授業(絵画的認識力)

1) 心に残ったこと「小鳥の巣箱」

2) 民話をつくろう「五杉木の天狗」

(6) 手の機能の回復と五感の再訓練をさせる生活の中の手だての工夫(学校行事、特別活動、遊び等)

 

七、研究の実際

 

(一) 創造力・発想力実態調査「おもしろカード」(八月、一月)

○ねらい

しりとり、色や形からの発想、○からの発想、感情の線表現などについてどれだけ想像することができるかイメージカや図形的認識力を調べる。その後、同じ条件の中で調査して変容をとらえ、指導の手がかりとする。(三十分)

 

 

 


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