教育福島0160号(1992年(H04)01月)-045page
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2) 発達段階、学校規模等を考慮して、個の存在を大切にしようとする意識を高める。
視点二「個の特性を生かす」について
小学校・中学校・高等学校ともに、八十パーセント以上の教師が「個の特性が十分に生かされているとは言えない」と感じている。
これは、学級の人数が多い上に教師が多忙なため、生かす場の設定が難しいことと時間が取れないことが主な要因と考えられる。
特に、指導する学級の多い中学校・高等学校の教師は、個の特性をとらえることは容易でないと推察される。
以上のことから、(視点二)に関わる改善の方向として、次のようなことがあげられよう。
1) 教師間の共通理解を図ったうえで、「個を生かす」ための内容・方法を学年・学級経営等に位置づける。
2) 教師一人で「個を生かす」ことは困難なことから、互いに補い合う学年・学級経営を心がける。
3) 個の発達段階、学力等の違いを踏まえ、小・中・高校の一貫性を見通しての柔軟な指導及び学習が可能となるような、学年・学級経営を進める。
視点三「認識的側面と情意的側面の調和」について
小学校・中学校・高等学校ともに、認知的側面と情意的側面の調和に意を払ってはいるが、現実には、特に若い教師ほど困難を感じていることが多いようである。
その理由としては、指導内容・方法及び評価がわからない、環境や条件が整備されていない、といった声が多い。
これからのことから、学校全体としての取り組みの不十分さや指導上の迷いも感じられるので、(視点三)に関する改善の方向として次のようなことが考えられる。
1) 情意的側面の評価のあり方について全教職員の共通理解を図る。
2) 児童生徒自身が自己理解を深め、自己の課題を明確にし、意欲的に自力解決を図る態度を育てる。
視点四「個性豊かな生き方のための基礎・基本を習得させる」について
経験年数や年代、校種に応じて回答傾向に顕著な違いが表れているが、総じて多忙な上に、児童生徒数が多くて、個性豊かな生き方のことまで十分吟味する余裕がないという声が最も多い。
このことから、(視点四)に関わる改善の方向としては次のようなことがあげられる。
1) 発達段階や個々の実態に応じて、個性豊かに生きるための基礎・基本を明らかにし、その習得・定着をめざす学年・学級経営を推進する。
2) 「個が生かされる」学習環境としての物的環境、人的環境を整備・活用する。
四、今後の方向
本年度(二年次)は、この実態調査で浮きぼりにされた「個を生かす」ための問題点等に対する解決試案を、研究協力校(小・中・高校)の実践を通して、県内各校で生かせる具体的な内容にしていきたいと考え、研究実践中である。
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