教育福島0160号(1992年(H04)01月)-050page
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ふる寸と探訪
県指定重要文化財(考古資料)
松野千光寺経塚出土品一括
所在地喜多方市字柳原七五〇三番地の1喜多方市郷土民俗館
所有者喜多方市
所有者の住所喜多方市字御清水東七二四四番地の二
平成三年三月二十二日付けで県の重要文化財に指定された、松野千光寺経塚出土品(一括)は、喜多方駅の西方にある山地で、天平年間に行基が建立した山寺と伝えられる千光寺跡の雑木林で、昭和九年に躑躅を採取しようとした青年によって、当時の慶徳村大字松舞家字金山四千三百四番地ノ八地内から偶然発堀されたものです。
石櫃一口外六品目十五件の遺物が指定されましたが、石櫃は、東北地方最古の経塚遺物で、三ヵ所に刻まれた銘文から、大治五年(一一三〇)に埋納、寛文十年(一六七〇)に発見し、翌々年に再埋納されたものであることが判りました。この間の経過は、「家世実紀」や「新編会津風土記」などにも記述がみられます。
第一号経筒は、この石櫃に納められていました。ただし、寛文十年の記録ではこれらの遺物の発見状況が不明で、特に第二号経筒は鎌倉時代の埋納と考えられます。また、現在失われていますが、昭和九年には、第二号経筒と同形同大とみられる、経筒の断片も発堀されていました。このように本経塚出土遺物は、大治五年以外に十三世紀の埋納品が含まれており、通説では磬・独鈷杵・五鈷鈴も大治五年の埋納としていますが、この事情から、それらの埋納時期の確定は、今後の課題です。
いずれにしても、十二・十三世紀の経塚遺物として、全国的にも注目される貴重な資料です。
品目
1.石櫃(蓋付き)……1口
2.銅製経筒(いずれも蓋付き)……2口
3.銅磬……1面
4.金銅鋳製独鈷杵……1口
5.金銅鋳型五鈷鈴(いずれも総体一鋳)……2口
6.陶器(いずれも須恵器系陶器)……6口
7.鉄器断片……3点
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