教育福島0161号(1992年(H04)02月)-024page

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という感慨がわいて来ました。

韓国には十日間滞在しましたが、訪問先で最も衝撃を受けたのは、独立記念館です。ここには、倭寇(わこう)に始まり、秀吉、植民地支配、と侵略され続けた韓国人の心の痛みが凝縮されています。ハングルで書かれた写真やパネルの説明を読むことは出来ませんでしたが、強制徴用の問題を扱った写真がたまたま福島県の常磐炭鉱のものであることがわかり、否応なく引きずり込まれていきました。特に、日本刀に象徴された、関東軍による拷問と虐殺行為を蝋人形で再現した場面に直面した時、あまりの残酷さに打ちのめされ、逃げ出したい気持ちをこらえて立ちすくんでいた私は、見学している子供達の波にもまれ、ショックは増幅するばかりでした。

これほどまでの厳しい反日感情を目の当たりにして、重苦しく沈痛な面持の私を救ってくれたのは、学校を挙げて私達を歓迎してくれた仁憲国民学校の天真爛漫な子供達の笑顔であり、家族全員で歓待してくれた趙さん一家の暖かくこまやかな心遣いでした。一緒に腕を組んで公園や博物館を訪ね歩き、夜遅くまで心を開きあって語り・歌い、お互いのありのままの素顔を知り合えた、という共通の体験は、まだ私の中で漠然としたままですが、貴重な何かになるのでないか、という気がします。

日韓両国が本当の意味で近い国になれるとすれば、案外このような小さな積み重ねの中からではないでしょうか。わずかではあっても韓国という国とそこに住む人の存在をこの目で確かめ、これまで無関心であったことを恥じるとともに、平和な日本では日頃持つことのない緊張感を感じた時、日本人が過去の不幸な歴史的教訓を忘れてはいないことを伝えることの出来る相手に出会い、その第一歩を踏み出す機会が今私に与えられていることに感謝しています。

 

▲慶州仏国寺にて

 

▲慶州仏国寺にて

 

韓国滞在中一番心惹かれたのは、千年もの昔、人が行き来した慶州仏国寺境内の秋……荘厳な伽藍に配置されたいくつものお堂は、新羅王朝の時代からはるかに隔った時代に復原されたものですが、よく歴史的景観を残しており、そのゆるやかな勾配の丸瓦や丹塗りのままの吹き放しの丸柱の美しさに、日本の古建築と共通の美的感覚が窺(うかが)え、共感を覚えます。また、丹青のあでやかな彩色で彩られた韓国の美の表現は、古色蒼然とした白木造りのあっさりした装飾だけを見慣れた目には、かなり刺激的で、色彩感覚の違いが感じられました。しかし、美しい自然の中に、ゆったりとおおらかにたたずんでいるその姿は、歴史の推移について何かを語りかけているかのような感動に包んでくれます。是非、再度訪問して、大陸的・異国的情緒を織りなす田園風景を静かに味わいたいと思っています。

(県教育庁文化課副主査)

 

通信制高校の生徒募集について

福島県立安積第二高等学校通信制課程

一 入学資格 中学卒業以上の人 学力検査はありません

二 募集人員 普通科五百名

三 受付期間 平成四年二月十四日(金)から四月十三日(月)まで

四 学習方法

1) スクーリング

月に二、三回、日曜又は月曜に登校して授業を受ける

2) リポート

各科目年間約十回提出し、添削を受ける

3) テスト

前期と後期の二回実施

五 特典 教科書・学習書の無償配布 各種育英資金

連絡先 県立安積第二高校

電話 ○二四九(二五)六四三二

 

 

 


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