教育福島0162号(1992年(H04)04月)-009page

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(3) 環境の整備・充実

○教師と児童・生徒、児童・生徒相互の人間関係の充実を図ることや、校舎、校庭及び教室の環境整備に心がけることである。道徳の目標や内容に示される精神が環境の整備・充実にも反映されるようにする。

(4) 日常生活での指導

○日常生活を充実させ、心身ともに健康な自己形成ができるよう配慮する。日常生活と道徳の時間との関連を十分図ることによって、道徳的実践の指導の場ともなる。

(5) 学校と家庭、地域社会との連携

○学校が率先して家庭や地域社会にはたらきかけながら相互に親しみのもてる協力体制をつくり、相互の連帯感を高める活動を推進していく。

(6) 近接の幼稚園、保育園、小・中学校との連携

○道徳教育は、児童・生徒の生活圏全体を考慮したものでなければならない。また、適時性に即した指導を進めるためにも重要である。

 

三、教師の個性を生かした指導案の工夫

 

次に諸計画が機能するためには、道徳の時間の主題が指導案に生かされていなければならない。

道徳の時間の主題は、ねらいと資料によって構成され、年間指導計画に適切に位置付けられ、配列される。この主題のねらいが生かされるためには、子供や学級の実態に即して、教師自身の個性や持ち味を生かした指導案が作成されなければならない。したがって指導案は、学級における道徳の時間の指導計画として学級担任の創意工夫が求められる。

指導案の作成において、まず心がけることは、ねらいや資料について、再度吟味することである。

(1) ねらいに含まれる道徳的価値について教師自身が主体的に把握する。

○ねらいの基になっている内容項目の理解を図るとともに、教師自身の願いとして、子供の実態に即して具体的にとらえる。

○四つの視点のうち、「主として自分自身に関すること」、「主として他の人とのかかわりに関すること」等のどの視点にかかわるか明確にする。

(2) 資料の活用を吟味する

○資料をどのように使ってねらいに迫るか、学級の子供の実態に即して再度検討する。

○子供の立場に立って見直し、ポイントとなる箇所における子供の反応を予測しておき、子供の予期せぬ反応に対応できるように心がける。

○補助資料を子供の実態に応じて活用工夫し、個に応じた指導ができるようにする。

○簡単なメモ程度のものから資料と同じ重みをもつものが考えられるが、子供が、ねらいに含まれる道徳的価値をどの程度自覚しているかを予測し、効果的に活用する。

(3) 一つの内容項目の複数主題の指導を工夫する。

○今回の改訂で内容項目の精選が図られているので、かなりの内容項目が複数主題で指導されることになり、その工夫が求められる。

○主題の関連性について把握する。

○一つの内容項目に関連する主題全体を一つの単元のようなとらえ方をし、各主題の指導の重点や発展性を明確にし、学習内容が子供一人一人に身につくように工夫する。

 

四、道徳の時間の指導の活性化

 

形骸化した授業から脱皮し、活気ある授業にするためには、様々な指導法を適切に取り入れることが大切である。

(1) 感動を伴う体験的な活動を取り上げる

道徳の時間で子供の体験を取り上げることは、道徳の時間の補充深化、統合の視点を明確にし、個に応じた指導をするうえからも欠かすことができない。

(2) 多様な話し合いを工夫する。

(意図的指名、児童・生徒相互指名、パネルディスカッション、バズ・セッション、小集団)

(3) 役割演技・動作化を取り入れる。

友達との相互理解や信頼関係を深めるのに有効である。子供の実態に応じて、再現劇、即興劇などを考えていくことが必要である。

(4) 書く活動を取り入れる

書くことを通して自分自身の考えを再確認したり、自己を内省したりすることができる。さらに、記録しておくことにより自己の成長を内省したりすることができる。以上、今後一層活用したい例をあげてみたが、指導過程のどの段階にどの方法を活用すればよいかという点も含め、教師自身が指導方法の改善と開発、習熟に努めることが大切である。

 

五、おわりに

 

道徳教育を充実させるためには、学校全体としての主体的な取り組みが大切である。自校がかかえる課題を明確にするとともに、その課題解決の努力を通して、個性あふれる道徳教育が一層充実するよう期待している。

 

 

 


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