教育福島0162号(1992年(H04)04月)-010page

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(研究実践)

平成3年度研究指定校における実践

 

心豊かな子供を育てる道徳教育

−学校と家庭の連携を図りながら−

表郷村立小学校

 

一、研究主題設定の理由

 

1 小学校学習指導要領の改訂の基本方針

2 本校教育目標の具現化

3 児童、地域の実態、父母、教師の願い

以上三つの観点をふまえ、道徳教育の充実は、学校と家庭・地域社会の連携が重要であることから、本研究主題を設定した。

 

二、研究主題のとらえ方

 

「心豊かな子ども」像を

1 思いやりのある子ども

2 感動できる子ども

3 進んで実践できる子どもと設定した。

 

三、研究実践の内容と成果

 

研究主題に迫るために、指導の場を、1)道徳の時間の指導、2)日常生活での実践、3)家庭・地域社会との連携、と大きく三つに分けて研究実践をすすめた。

また、学校・家庭連携推進会議を組織し、地域社会、幼稚園、中学校との協力体制を築いてきた。

1 道徳教育に関する指導計画作成

2 研究主題にせまる授業実践

道徳の時間を「より一高められた価値に照らして今までの自分を見つめさせる時間」ととらえ、次の八点について研究実践した。

(一)資料選定、基本的指導過程の確立

(二)自己を見つめさせる手だての研究

(三)道徳の時間と家庭・地域社会の連携の方法

(四)より高い価値を把握させるための手だての研究

(五)座席表の活用と児童の反応分析による指導法の評価

(六)道徳指導案の形式の確立

(七)郷土資料についての研究

(八)学習指導要領についての研究

(七)の郷土資料については、郷土の偉人、名所、旧跡だけでなく「地域の素材を用いた自作資料」も郷土資料と考え作成した。このことにより、児童が郷土に親しみを感じ、家庭内でも資料が話題となり、学校と家庭の連携を図る上で有効であった。

(三)の道徳の時間と家庭・地域社会との連携については、 (1)指導過程に生かす事前調査 (2)我が子への手紙の作成依頼 (3)地域の人の声の便り (4)資料作成のための協力依頼などを中心にして連携を図った。道徳の時間の終末で、親からの手紙を読んだり、地域の人の声を聞いたりする時の児童の目の輝きから、これらの指導方法は有効であったと考えられる。

 

道徳の授業より

道徳の授業より

 

3 日常生活での実践指導

「学校・家庭・地域社会での生活の中で、意図的・計画的に実践場面を設定し、道徳的行為をすることの喜びを味わわせ、進んで実践できる子どもを育てる。」ことを基本的な考え方とし、教育活動全体の中で指導してきた。主なものとしては、七夕集会、PTA学年行事、よい子の手帳の活用、「親子で伸びよう表っ子運動」の展開、少年自然探偵団活動、JRC活動、緑の少年団活動などがあげられる。

七夕集会、PTA学年行事等では、老人・父母と接する機会を設けたことにより、周りの人たちの愛情を感じ取り、いたわりの気持ちが育った。また、基本的生活習慣の定着についても、指導の成果が現れてきている。

4 家庭・地域社会との連携による指導

「学校・家庭・地域社会の役割を自覚するための啓発を行い、道徳教育に対する意識の高揚を図り、一貫した指導を重ねるために連携、協力し望ましい道徳的習慣を培う。」ことを基本的な考え方とした。実践内容は、学校だより「福寿草」の発行、道徳の時間の公開、家庭の意識調査、保護者が記入し回覧する道徳ノート、地域モニター制等で、成果があった。

5 学校・家庭連携推進会議

PTA役員、少年自然探偵団世話人、表郷幼稚園、表郷中学校、表郷公民館、本校職員の五十五名で構成した。児童の主体的な実践、道徳的行為を実現させることを目的として年間六回、定期的に開催した。

 

四、今後の課題

 

1 学校・家庭連携推進会議、道徳ノート等から吸い上げた問題に素早く対応し、家庭とより信頼し合えるようにしたい。

2 道徳教育の指導計画の改善のための記録の累積が必要である。

道徳教育の実践を更に推進したい。

 

 

 


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