教育福島0162号(1992年(H04)04月)-012page
豊かな心をもち、たくましく生きる児童の育成をめざした道徳教育
−学校と家庭の連携を深める中で−
南郷村立南郷第二小学校
南郷村立南郷第二小学校
一、主題設定の趣旨
今日の科学技術の進歩や経済の発展は、物質的な豊かさと同時に価値観の多様化、情報化、国際化等をもたらせている。その結果として、人間としての在り方や生き方についての自覚に立った道徳教育のみならず、家庭や地域における道徳教育の充実が求められているのが、今日である。
本校では、このような社会的要請と共に、穏やかで黙々と活動するが人前での発表や積極性に乏しさを感じるという実態と少しでもたくましく育てたいという保護者の願い、そして教育目標の具現という観点から右の研究主題を設定した。
二、研究の見通し
道徳的価値を主体的に自覚させる道徳の時間の指導と「南郷二小のよい子」に基づく道徳的実践の指導が家庭との連携を深めながら行えるようにするため次のように研究の見通しを設定した。
(一) 道徳の時間
家庭の道徳教育との連携を図ると共に、役割演技などを通して多様な考えに触れさせながら道徳的価値を主体的に追求把握できるようにすれば、道徳的実践力が育つであろう。
(二) 道徳的実践の指導
学校と家庭が協力し合って、「南郷二小のよい子」に基づく三つの運動に取り組めば、日常生活の基本的な生活習慣や望ましい人間関係に関わる道徳的実践が一層うながされるであろう。
三、研究組織
全体研究会を中心に授業研究部、実践指導部を設けた。
また、学校と家庭との連携推進を図るため、「学・家連携推進会議」を設置した。
四、研究内容
(一)道徳の時間の指導の充実
(二)道徳的実践の指導の充実
(三) 学校と家庭の連携推進
五、実践紹介
(一) 役割演技による価値追求の工夫話し合いだけでは得られないより具体的な道徳的価値の追求・把握が行われるように、役割演技を積極的に取り入れてきた。
○ 指導上の留意点
・ 演技の巧拙にとらわれず、即興性を重んじ、児童自らの考えで自由に演技できるようにする。
・ 主人公の気持ちや考えの聞き出しが不十分なときは、教師が介入し聞き出し役を行う。
・ 主人公の気持ちや考えが言動に表れたとき、役割演技を終了し、話し合いを持つ。
・ 役割演技や話し合いによって出された児童の考えを整理し、「今までの自分を振り返る」手がかりになるようにする。
「2年「ずるいずるい」より」
(二) 郷土を見つめ愛する心を育てる「ふるさと運動」
自分が生まれ育っている「ふるさと」に目を向けさせ、自然や地域、文化、人々の素晴らしさに気付かせようとする活動である。
親子ナイトハイク等のPTA学年活動や「ふるさとを知ろう」等の体験活動では、家庭や地域の積極的な協力が得られるようになり、活動を通して学校と家庭の連携にも深まりがでてきた。
(三) モニター制の導入
校外での児童の様子を把握するためにモニター制を導入した。学・家連携推進会議でモニターを選出し、地区の実態や家庭数に合わせて配置した。
モニターからの声は「よい子のなる本」や道徳だよりに紹介したり授業での活用を図っている。
六、成果と課題
(一) 家庭と連携した道徳教育の推進が、児童の道徳性を育てる上で欠くことのできないものであるという手ごたえを得た。更に保護者の関心を高め、推進していきたい。
(二) 道徳教育を「心を育む教育」という観点から更に見つめ直し、他領域の実践活動との関連を図った教育計画の改善に努めたい。