教育福島0162号(1992年(H04)04月)-014page
健康で正しい判断のできる生徒の育成をめざす道徳教育
−家庭・地域社会との連携をとおして−
石川郡浅川町立浅川中学校
一、主題設定の理由
本校の多くの生徒は、明るく素直であり生き生きと生活している。しかし、反面「基本的な生活習慣の確立」「他を真に思いやる心」「自主的・積極的な行動」には、十分でない生徒が見られた。このような生徒の実態から、教育目標のめざす生徒像の一つに道徳的意義を見いだし、研究主題を設定した。
二、研究仮説
基本仮説「学校と家庭との連携を図り、道徳の時間の充実や道徳的実践の場の意図的な設定・指導を通して心の教育を計画的に推進すれば、健康で正しい判断のできる生徒を育成することができる」を掲げ、研究を推進することとした。
三、研究の実践の概要
(一) 道徳の時間の指導について
道徳的価値の内面的自覚をめざす指導過程に基づく指導と指導方法の工夫をした。
(1) 資料提示の工夫
(2) 話し合い活動の重視
(3) 自分の考えを書いてまとめることの重視
(4) 保護者の考え、体験等の活用
(5) 役割演技等の技法を取り入れた授業の展開
役割り演技を取り入れた授業の展開
(二) 道徳的実践の指導について
意図的計画的な道徳的実践の指導の場を設定した。
(1) 生徒会活動の活性化への援助指導
(2) 生徒会活動、学校行事における個人目標の設定(心の道しるべ)
(3) 日常生活の中で、自己を振り返る機会の設定
(4) 生徒主体のあいさつ運動の推進(校門や昇降口でのあいさつ運動、標語募集、あいさつ作文)
(5) 環境整備活動の充実(清掃、環境美化コンクール)
(三) 学校・家庭との連携推進事項
道徳教育に関する意識の高揚をねらいとした活動を行った。
(1) 学校・家庭連携推進会議の定期的開催
(2) 道徳だより「さぎ草」の発行による啓発活動
(3) 日曜参観(道徳の授業)の実施
親子奉仕作業(壁のよごれおとし)
(4) 親子奉仕作業の実施
(5) 親子レクリエーションの実施
(6) 家庭での「しつけ」を中心とした基本的な生活習慣に関わる実態
調査
四、研究の成果
教師集団が一丸となって努力した結果は徐々に生徒の中に浸透し、道徳的実践意欲や態度を喚起しつつあり、道徳的実践力の高まりを感じさせる。
成果として、次のことがあげられる。
(一) 高められた価値に対して、素直に自分を振り返る生徒が多くなった。その結果、礼儀正しい生徒の姿が日常に多く見られる。
(二) 教育活動の全体にわたり、道徳的な視点にたって、より温かみのある指導がされ、生徒の自主的・積極的に活動する姿が見られるようになった。
(三) 道徳の授業に対する関心が高まるとともに、家庭の教育力の大切さを再認識する保護者が数多く見られるようになった。
五、今後の課題
(一) 教師の自己啓発、自己研修の機会を拡大し、全校的なものにしていきたい。
(二) 道徳的実践力を身に付け、自主的・積極的に活動するより多くの生徒を育成していきたい。
(三) 家庭・地域との連携を強化し、信頼関係の確立と、教育力の向上をめざして努力していきたい。