教育福島0162号(1992年(H04)04月)-017page

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を具体的に理解し合うことが必要である。その意味で、大野小学校における父母に対する道徳の授業の公開、授業後の懇談、広報紙の発行などの実践例は得るところが多い。

要は、学校と家庭・地域社会の接点の在り方を工夫し、共通理解と相互連携のもとにそれぞれの教育機能が十分発揮できるようにすることが、これからの課題と考える。

 

2)家庭における道徳教育

 

1 「父親」「母親」としての自覚をもち、子供の「かがみ」になるために、次のことに心がける。

(1) 生涯学習の意義を理解し、進んで勉強する。

(2) 子供と共に過ごす時間を確保し、子供の話に耳を傾ける。

(3) 子供の望ましい言動を認め・励まし、そのよさや可能性を伸ばす。

2 社会生活に必要な基本的な生活習慣を身に付けさせる。

3 子供と共に行う家事や家族との団らんを通して、自ら働く姿を示し、生き方について共に考え、家族のきずなを深める。

 

「家庭における道徳教育とは」

只野和子委員(相馬市立中村第一中学校PTA副会長)

 

ズシッと威圧感を受ける「道徳教育」という言葉。家庭ではどうなのだろうかと改めて考えてみる。それは、毎日の生活における一つ一つの小さな出来事にどのように対応していくかを、親としての体験と経験と知恵の中から少しずつ引き出して教え、子供の心の成長の補佐をしていくことであると考える。これは、親と子の枠をはずし、対人間として接した方がとてもやりやすい。また、子供に対しては、「私はこう思うけど、あなただったらどうする?」と問いかけてやる方が、頭ごなしに教え込むよりずっとすてきである。そのためにも、親としての考えをしっかりと子供に伝えておくことも大切なことの一つである。つまり、「家庭における道徳教育」とは″日常会話″そのものであり、心の中に笑顔さえあれば、むずかしいものではないと考える。

 

3) 地域社会における道徳教育

 

1 社会教育関係者や公民館等が、家庭教育学級や子育て学級を開設するに当たっては家庭や地域社会の教育力の向上と道徳教育の振興を図る観点から実施するよう努める。

2 地域社会は学校や家庭と相互連携を図りながら、次のことを実施して心豊かでたくましい児童生徒の育成に努める。

(1) 地域の指導者は、スポーツ少年団活動や文化的活動の意義を理解し、地域社会や学校の協力の基に、各種活動で得られるマナーや思いやりの心を育成する。

(2) 地域子供会等を活発にし、「地域の子供は地域で育てる」という気運を高める。

3 青少年健全育成会議、各種クラブ、青年会議所、企業等の責任者は学校との連携により、次のことを実施するよう努める。

(1) 自然環境の保持や道徳的環境の醸成に努める。

(2) 親子防災運動など、親子で行う行事を企画し、道徳的な行為ができるようにする。

(3) 「あいさつ運動」「愛の一声運動」「クリーン活動」など地域ぐるみで取り組む。

 

「青少年健全育成会議でできること」

藤森ヨシエ委員(大熊町青少年健全育成町民会議副会長)

 

青少年健全育成は、次代を担う青少年を育てる大事な仕事で、今その重要性が問われている。社会の情報化、価値観の多様化の中にあって、青少年にとって刺激の多い環境の中で、自由奔放な生活を送っている。また、塾通いや部活動に忙しく、戸外での遊びや体験に乏しく、親子の対話の時間も持てず、家庭のしつけも不足しがちである。青少年健全育成には道徳教育が最も重要なウエートを占め、学校・家庭・地域社会の三者連携を図り、共通理解を深め、表裏一体となって進めなければならない。道徳教育は心の教育であり、「健全な家庭から健全な少年が育つ」と言われている。

しつけは、母親、祖父母の教育力が大きいという見地から、若い母親の教育力の向上を切に望みたい。

 

 

 


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