教育福島0162号(1992年(H04)04月)-018page

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特集2

学校給食をより充実させるために

−衛生の手引−

保健体育課

 

はじめに

 

我が国の学校給食は、戦後の困難な食糧事情の下で、児童・生徒を救済するための措置として、アメリカからの脱脂粉乳等の援助物資を受けて本格的に開始されました。

その後、昭和二十九年には、「学校給食法」が制定され、時代の変遷とともに普及・改善・充実が図られ、健康教育の一環としてますます充実することが望まれています。

学校給食は、学校という教育の場において行われるものであり、また、児童生徒の心身、健康に大きな影響を及ぼすものであることから、栄養のバランスがとれた魅力的な食事であると同時に、衛生面にも万全を期すことが重要です。しかし、残念なことに、本県でも毎年食中毒が発生している実情にあります。

このため県教育委員会では、昨年「学校給食における衛生管理の手引き」を作成し、関係者に配布するとともに、食中毒の防止について指導を強化してきたところです。

新年度を契機として、新たな気持ちで学校給食の事故防止に留意し、学校給食が一層充実したものとなるよう衛生管理について再確認していただければ幸いに思います。

 

一 食中毒とは

 

まず、食中毒の防止や発生した場合の対策を考えるために、食中毒の概要について述べてみます。

食中毒の原因は、細菌・化学物質・自然毒に分けられます。このうち、化学物質による食中毒は、誤って化学薬品が混入した食物の摂取によって起こります。自然毒による食中毒は、毒きのこや毒素を含んだ魚等の摂取によって起こります。しかし、これら化学物質や自然毒によって起こる食中毒はわずかであり、食中毒の原因となる主なものは細菌です。

本県の学校給食で起きた食中毒も細菌によるものが大部分であり、主な食中毒菌の特徴及び予防のポイントは「表4」のとおりとなっています。

一般に食中毒の発生件数は季節によって相違があり、本県の過去十年間における食中毒の月別発生状況は、「表1」のとおりです。特に六月から十月に多発する傾向にあり、この期間に八二・三%と集中して発生しています。この期間を食中毒多発期として捉え、十分注意をすることが肝要です。

「表2」の施設別食中毒発生状況から本県の学校給食における食中毒の特徴をみますと、発生件数は多くないものの、患者数では県内における全食中毒の三四・五%を占めているということがあげられます。これは学校給食が集団給食であるため、一度の発生で多くの患者を出してしまうことによります。

また、「表3」の施設別病原性大腸菌による食中毒患者発生状況をみますと、病原性大腸菌を原因とするものの六〇%が、学校において発生しているということがあげられます。

また、特に近年全国的に多発傾向にあるカンピロバクターを原因とするものの一〇〇%が、学校給食において発生しているということも大きな特徴といえるでしょう。

 

表1 福島県の食中毒月別発生状況(S.56〜H.2)

表1 福島県の食中毒月別発生状況(S.56〜H.2)

 

 

 


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